功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『キックボクサー5』

2007-11-27 22:26:34 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「キックボクサー5」
KICKBOXER 5/KICKBOXER 5: THE REDEMPTION
搏撃之王第五集
1995

●かつてヴァンダムが主演した『キックボクサー』という映画があった。この作品は後にサシャ・ミッチェルが主演を引き継ぎ、『キックボクサー2』『キックボクサー3』『キックボクサー4』まで製作された。そして本作ではマーシャルアーツ映画きってのアクションスター、マーク・ダカスコスが主演を務めている。とは言ってもシリーズ的な繋がりは薄く、ミッチェルが演じたキャラが冒頭殺され(ミッチェルは登場せずシルエットのみ)、その友人だったダカスコスが立ち上がるので、シリーズを通して見ていなくても大丈夫です(かくいう私もまだ未見…)。
ダカスコスは若くしてキックボクサーを引退した男。その友人がキックボクサーのチャンピオンとなるのだが、ジェームズ・ライアン率いる組織の要求を跳ね除けた友人は殺されてしまう。ダカスコスは敵の本拠地がある南アメリカへと向かい、組織に雇われたが反発して共に逃亡者の身となったジェフ・ミードと闘っていく。
本作の注目すべき箇所はズバリ、マーク・ダカスコスVSジェームズ・ライアンという、マーシャルアーツ映画夢の対決である。
ジェームズ・ライアンは日本でもリリースされている『サンダー・ウォリアーズ』などで主演を張ったひと昔前のアクションスター。そのアクションの基礎は空手がベースで、『サンダー・ウォリアーズ』では制作年代の割には結構いい動きをしていた。そんなライアンとダカスコスの対決!…なのだが、そのラストバトルはナイトシーンの上に途中から取っ組み合いになってしまうというお粗末なものとなっている(途中までは良かったのだが…)。
これはちょっと残念だったが、ダカスコスは全編に渡ってアクロバティックな足技を披露。タイトルがキックボクサーなのにダカスコスは棒術や中国拳法みたいなアクションを見せていて面白い。ジャケを見るとジェフ・ミードがラスボスっぽく見えるが、彼も彼でそれなりに頑張っている(なお、ジャケ裏にジェフが丸太を持ち上げたりファイティングポーズをキメているスチールがあるが、本編中にこんな場面はありません)。
マーシャルアーツ映画としては佳作ですが、なかなかの拾い物といった感じでした。

『レッド・サン・ライジング』

2007-11-26 21:57:46 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「レッド・サン・ライジング」
原題:Red Sun Rising
製作:1993年

●京都府警の刑事であるドン・ザ・ドラゴン・ウィルソンは、悪党のスーン・テック・オーと仲間の殺し屋であるジェームス・リューを追っていたが、相棒のユージ・オクモトを殺されてしまう。
その後、ロサンゼルスで捕まったスーンの身柄を預かるべく渡米したドンだが、現地ではギャング同士による抗争の真っ最中。ロス市警は身柄引き渡しなどに構っているヒマなど無く、日本人だからとドンを差別しまくる有様だった。
 ところがその矢先、リューの手によってスーンが殺されてしまう。このまま帰るわけにいかなくなったドンは、叔父のマコ岩松の元へと身を寄せ、独断で捜査を開始。よそ者に暴れて欲しくないロス市警は、お目付け役に女刑事のテリー・ファレルを押し付けた。
ところがスーンはリューの特殊な拳によって仮死状態にされたにすぎず、2人は秘かに逃亡。ドンはスーンたちがギャング相手に武器密輸を企んでいることを突き止めるも、独断専行が行き過ぎてテリーが謹慎処分を食らってしまう。
やがて警察内部や財務省にも敵が潜り込んでいた事が発覚し、ドンを毛嫌いしていた警察署長(マイケル・アイアンサイド)がスパイを調査していたというご都合的な展開へ。やがてドンは対立するギャングの一方と手を組み、リューとの決戦に挑むのだが…。

 本作はおなじみドン・ザ・ドラゴン・ウィルソン主演のポリスアクションですが、本作で彼は日本人(正確にはハーフ)の刑事を演じ、アメリカで大暴れするという風変わりなストーリーとなっています。
ヘンテコな日本描写も多く、オープニングで道頓堀が映ったと思ったら直後に「TOKYO JAPAN」と表示され、そこで京都府警のドンが暴れるというデタラメっぷりです(笑)。しかし話のほうは主人公に対して批判的なキャラクターが多く、かなりの苦境に立たされていました。
 なにしろ日本では厄介者として偏見に満ちた目で見られ、ロス市警からは疫病神扱いされ、事件の証人は次々と殺されていくのです。協力的なのはテリーとマコ岩松しかおらず、これでは息苦しくて見ていられません。
恐らく、本作は逆境に立たされるドンの姿を通して人種的偏見に訴えようと試みたようですが、残念ながら逆境過ぎてあまり面白くなかった…というのが正直な感想でした。
 ただ、アクションシーンでは絡み役も動ける連中が揃っており、特にジェームス・リューが大悪役を演じているのがポイント。彼は『リーサル・ウェポン4』で李連杰(ジェット・リー)に制裁を受け、チャイナタウンで殺される脇役などで知られています。
そのせいか香港映画ファンにはいまいち知られていませんが、格闘映画ではメインの悪役を務める事も多く、本作では堂々のラスボス役を好演。『リーサル~』では見せる暇もなかったアクロバットな動作を披露し、その実力を見せています。
惜しむらくは殺陣が大味で、ドンの動作がもっさり気味な点なんですが…(ちなみに武術指導はドン本人)。あと、作中で彼が日本語を喋る場面があるんですが、案の定カタコトで発音も滅茶苦茶。その後、テリーが「日本語って壊れた無線機みたいね」国辱級の毒を吐くシーンがあり、危うく同意しかけてしまいました(爆

『Deadly Shaolin Longfist』

2007-11-25 23:05:26 | カンフー映画:珍作
Deadly Shaolin Longfist
1983

●一部で"韓国のジャッキー"と呼ばれている鄭眞化(エルトン・チョン)の主演作で、韓国製の功夫片である。
それゆえ、詳細不明&知っている顔が全くいないというツラい作品(個人的に鄭眞化の主演作を見るのは初めてなので、顔を知らないのと同様の状態)だった。作風は鄭眞化が主演というだけあってジャッキーの『酔拳』風なタッチが盛り込まれている。しかし全体的な色はシリアスなストーリーで内容が入り組んでおり、鄭眞化のパートとヒロインのパートが完全に分裂している『七福星』状態なので、かなりややっこしい内容となっている。
師匠を白髪男が率いる四天王のリーダー格が率いる衛兵に殺された(長っ!)鄭眞化は、流れ流れて変なジジイ(『酔拳』の赤鼻じいちゃん的キャラ)に拾われる。早く敵に仇討ちしたくてたまらない鄭眞化はジジイに反発するが、のちに紆余曲折あって拳法(将棋拳?)を習う。だが、途中でジジイは死んだフリをして鄭眞化と別れてしまう(理由は不明)。
一方、別ルートで行動していたヒロイン(鄭眞化の死んだ師匠と関係アリ?)は、何度か敵に闇討ちを仕掛けたりしていた。更にどことなく陳星に似た謎の男(先のジジイと同門らしい)も登場し、なんだかんだあって3人は共通の敵に挑んでいくのだった。
分裂したストーリーと知らない人だらけの出演陣、加えて私の入手したバージョンはカットされまくりの仕様(明らかにカットされた形跡が見られる)だったので見る気がかなり削がれそうだったが、ことアクションに関しては結構頑張っていた。殺陣のテンポはまとまっておらず、アクションも見どころはクライマックスぐらいだが、力任せに繰り出される場当たり的なアクションにはやけに迫力があり、アクションを見ていただけでもそれなりに楽しむことができた。
鄭眞化との初接触としては正直微妙な作品だったが、それについてもこれからに期待か?

『ブルース・リーを探せ!』

2007-11-23 21:28:24 | バッタもん李小龍
「ブルース・リーを探せ!」
天皇巨星
Exit The Dragon Enter The Tiger/Bruce Lee The Star Of Stars
Bruce Lee, the Star of All Stars
1976

●スーパースターである李小龍(何宗道の二役)と武術家の何宗道は友人だったが、李小龍が謎の死を遂げた。不審に思った何宗道は探りを入れるうちに、龍飛(ロン・フェイ)、山茅(サン・マオ)、金剛(カム・カン)、張翼(チャン・イー)らが死の真相を知っているとして近づく。そのうち、ヒロインが誘拐されて仲間が殺され、怒りの鉄拳アチョーな展開になっていくのだった…。
日本公開もされている作品だが、とにかくのらくりとストーリーが続き、正直あまり見られたものではない。アクションももっさりとしていて面白いものはそんなに無く、せいぜい見られるのは最後の何宗道VS張翼ぐらいだ。気になって武術指導が誰かと思ってみてみたら、なんと龍飛と山茅!なるほど…もっさりしているワケだ(爆
しかし、ここで1つの疑問が浮かんだ。この作品の監督は李作楠(リー・ツォナム)だ。李作楠といえば当ブログで『鷹爪螳螂』『勾魂針奪命拳』などの手堅い秀作をレビューしたが、その一方で『クノイチ部隊・地獄のニンジャ軍団』『レディ・ニンジャ/セクシー武芸帳』などの珍作を作ったりしている。
例えどんな名監督でも必ず失敗作はあるものだ。しかし、これらの作品は前者と後者(本作は後者に値する)とで作品の毛色が全く違い、本当に同じ人が監督したのだろうかと首をひねってしまうほどだった。本作については少なくともやっつけ仕事だとは感じられるが、李作楠の作品はまだ未見のものが多く、彼の作品についての評価はこれからなのでまだ何とも言えないところ(龍飛や山茅など、誰かさんゆかりの面々が出演している所を見ると、まさか…)。
個人的には、劇中『ドラゴン怒りの鉄拳』を参考に新聞売りの老人や電話修理工に扮して敵の目をごまかす場面がお気に入りだ。ここだけ完全にパロディになっていて笑えたけど、敵も『怒りの鉄拳』見てるかもって考えなかったのか?

『少林寺VS忍者』

2007-11-21 23:42:44 | 倉田保昭
「少林寺VS忍者」
中華丈夫
Heroes of the East
Shaolin Challenges Ninja
1978

▼かつてキングレコードのDVDが発売されるまで、日本で唯一リリースされていた純正なショウブラの功夫片である。主演は劉家輝(リュウ・チャーフィ)、対する相手には倉田保昭が扮しており、そのタイトルから功夫映画関連ではないサイトでもよく取り上げられている。しかしこの作品、見方を変えれば功夫映画史上非常に希な作品であると言えるのだ(後述)。

■ストーリーは様々なサイトで紹介されているので詳しい言及はしないが、内容はあっさりとしたコメディ仕立ての話だ。御曹司の劉家輝は日本人の妻・水野結花と結婚する。思ったより美人だった水野にすっかりお熱な劉家輝だが、実は水野は日本武術の達人だった。中国武術の達人である劉家輝とはことごとく対立を繰り返し、遂に水野は日本へ帰ってしまう。
なんだかんだで水野の事が好きだった劉家輝は、書生の入れ知恵で水野に挑戦状を送って帰ってこさせようとするが、これを水野の幼なじみである倉田さんら日本武術家が読んでしまったからさあ大変!劉家輝と倉田さんらの7番勝負が始まってしまうのだった…。
さて、ここで倉田さんが引き連れてきた日本人武術家軍団だが、実はほとんどのメンバーが倉田さんと共演及び対戦経歴のある面子なのだ。
最初に対決する剣士・原田力は『直撃!地獄拳』で倉田さんを不意打ちで倒し(笑)、のちに『女必殺拳・危機一発』ではリマッチを果たしている。特に前者では前もって紹介されていた強豪たちを差し置き、ラストバトルでは千葉ちゃんと一進一退のアホアホなバトルを繰り広げていた。
続いて登場する空手家・角友司郎は、倉田さん主演のTVドラマ『闘え!ドラゴン』にて拳を交えており、千葉真一とも『激突!殺人拳』で闘っている。竜咲隼人は『Gメン75』の香港ロケ編の常連で、当然師匠の倉田さんとは対戦済み。青汁で有名な八名信夫も前述の『闘え!ドラゴン』で倉田さんと、『影の軍団4』で千葉真一と手合わせをしている。
顔芸で一際異彩を放っているサイの使い手・中崎康貴もまた『Gメン75』の香港ロケ絡みで共演があるし、更に言えば水野も『Gメン75』の倉田さん降板回に出演している。唯一、柔道家・大前釣との共演が確認できなかったが、彼等の出演が倉田さん絡みという事実は興味深い。
恐らくは倉田さんが彼等を連れてきたのだろうと思われるが、倉田さんがいかに香港映画界で信頼を得ているか、そしてどれだけの影響力があるかが窺い知れて面白い。ちなみにストーリーの方は劉家輝VS倉田さんの濃いバトルの末に誤解が解けて和解するという〆になる。

▲…と、ここで本作を見てきて面白い事に気付いた。この映画には悪役が存在しないのだ。功夫映画は主人公と仇討ち相手がいればすぐに出来上がる。特にこういった日本人を扱った映画なら尚更だ。
しかし、本作は単に誤解が生じただけで、最後に手を取り合って和解を果たしている。考えてみて欲しい。決定的な悪役のいない功夫片が本作以外にあるだろうか?武侠片にはなんとなくありそうな感じがするが、それでいて本作では熱い激闘が幾度と無く繰り広げられている。
不用意な血も流れず、1人として死人も出ず、それでいて悪党がおらず、加えてアクションバリバリの功夫片なんて、まさに本作だけなのだ!これこそ実に画期的な試みであったと言えよう。個人的にも劉家良(ラウ・カーリョン)監督作の入門編として是非見て頂きたい一片。これは必見です!

『ファイヤー・ドラゴン』

2007-11-20 21:38:14 | カンフー映画:珍作
「ファイヤー・ドラゴン」
龍在江湖
Legacy of Rage
1986

●李小龍の息子、李國豪(ブランドン・リー)主演のサスペンスアクション。
李國豪は当時、自分が李小龍の息子であるという事に非常に大きなコンプレックスを抱いており、のちに吹っ切れたのか『クロウ~飛翔伝説~』で本格アクションにチャレンジするが、その撮影中の事故で天の星となってしまった。そんな彼が出演した唯一の純正な香港映画が本作だ。
ちなみに、李國豪の妹の李香凝(シャノン・リー)もアクションスターとして『エンター・ザ・イーグル』などで頑張ってはいるものの、実際は出演作がそんなに多くないのが現実である。そういえば『ツインズ・エフェクト2』でデビューしたジャッキーの息子、房祖明(ジェイシー・チェン)は、この先どういった活躍をしていくのだろうか?親のジャッキーは彼が俳優になるのは反対だったみたいだが…。
友人の王敏徳(マイケル・ウォン)に殺しの罪を擦り付けられた李國豪は、獄中で知り合った孟海(マン・ホイ…本作の武術指導も兼任)の協力を得て、捕らわれたガールフレンドの簡慧珍(レジーナ・ケント)と息子を助けるために立ち上がる。しかし相手はマフィアの陳恵敏(チャーリー・チャン)の跡取りである強敵。次々に親しい人物を殺されて、李國豪の怒りが爆発する!
アクションはそれほど多くは無いが、孟海の武術指導はいつもどおり見ごたえがあり、冒頭の楊斯らとのバトルや刑務所内での立ち振る舞いは偉大な父親の面影が隠れ見えた。しかし、同時に彼が存命していたらアクション映画の歴史はどう書き換えられていたかと考えるだけで、ちょっと残念にも思えた。
作品のイメージとしては決して悪くは無いものの、全体的に暗い雰囲気がする。ラストは普通に国外逃亡していたように見えたのだが、日本版ビデオではこのあと「結局自首しちゃいました」みたいなこじつけ気味の字幕が挿入されており、どうにも後味が悪いままで締められている(D&Bなのでここらへんの暗いイメージは仕方ないと言えなくも無いが)。
個人的な疑問としては、どうして李國豪は父のいたGHじゃなくてB&Dで主演作を撮ったのかが気になる所であるが、これもまた父の後追いを避ける為に取った行動なのかも知れない…。

『威震四方』

2007-11-19 23:23:15 | 王羽(ジミー・ウォング)
威震四方
英題:The Hero/Rage of the Masters/The Destroyer/Rage of the tiger
製作:1972年

▼これはジミー先生が切磋琢磨していた台湾時代の作品です。作品としては『片腕カンフーVS空とぶギロチン』のような正統派なもので、ジミー先生の作品にしてはいつもの奇抜な面はあまり見られません(敵の手駒として出てくるムエタイファイター四天王が笑えるくらいでしょうか)。
内容は『吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー』のような道場破りに関する話で、恐らく本作はそっちを意識して作られたのではないかと思われます。作品のテイストもなんとなく似通っていますが、いちおう『吼えろ!ドラゴン』よりはドラマ性が(ほんの少しだけ)強くなっているようです。

龍飛や山茅らムエタイ四天王を率いる薛漢(シェ・ハン)は、焦[女交](『片腕必殺拳』でもヒロインを演じる)のいる道場を襲撃した。道場生や師範はことごとく皆殺しにされ、唯一脱出した焦[女交]は身内である李藝民(サイモン・リー)の元に身を寄せる事となる。
薛漢らにリベンジしたい焦[女交]であったが、彼女や李藝民の腕ではとても歯が立たない。そこで焦[女交]のおじさんは「伝説の拳士であるジミー先生に強力を仰いだらどうだろう?」と提案した。しかし当のジミー先生は母親と共に隠遁生活を送っており、他人の争いごとに加担する気はさらさら無かった。
 そこで焦[女交]たちは「承諾してくれるまでここを動かない!」と、ジミー先生の玄関先に居座った。あくまで闘いたくないジミー先生もであったが、焦[女交]が毒蛇に噛まれたため仕方なく家の中へと通した。闘うことは拒むくせに、なんだかんだで焦[女交]と良い感じになっているところは流石ジミー先生だ!(笑
一方、薛漢によって奪われた道場は賭場に成り果てていた。そして回復した焦[女交]を送り届けようとしたジミー先生の元にも追っ手が迫る。なんとかこれを撃退したものの、焦[女交]が隠れ住んでいた家がバレてしまい、襲撃を受けておじさんの息子が殺されてしまう。
 それを聞いて怒りに震えるジミー先生は、遂に不戦の誓いを破って敵の本拠へと飛び込んだ。だが、さすがのジミー先生も物量の差には敵わず返り討ちに…。さらには彼の不在を狙った薛漢一味によって、焦[女交]を始めとした身内全員が皆殺しにされるという悲劇に発展する。
再び怒りに震えるジミー先生は賭場へ正面から突入!ザコを蹴散らして薛漢を倒し、残るはムエタイ四天王と田野のみ!改めて海岸へ彼らを呼び出したジミー先生は、最後の対決に挑む…!

▲本作はなんといっても若々しい李藝民の存在に目を惹かれます。張徹作品に出演し、台湾で主演作を連発する以前にこんなところに顔を出していたとは驚きです。残念なのは彼がジミー先生と本格的に絡むシーンが無かったこと。まぁ、さすがにこの頃は駆け出しだったから仕方ないのですが…。
さて肝心のストーリーについてですが、ご覧のように至極悲惨なものとなっています。ジミー作品らしい痛快さはどこにも無く、そこにあるのは陰惨な戦いだけ。仲間は次々と死ぬし、ストーリーのテンポも悪く、不戦の誓いが足を引っ張っているせいでジミー先生も全然活躍してくれません(涙
 ジミー先生によるアクションシーンも、クライマックスを除くと都合3回しか存在しないという有様。賭場へ乗り込む場面は『吼えろ!ドラゴン』っぽい派手な立ち回りを披露するんですが、反対にラストバトルが異様にあっさり終わるので、まったくと言っていいほど盛り上がれませんでした。
おふざけ無しの正統派な作品ではあるけど、ジミー先生特有のカタルシスは皆無な作品。どうせなら、もうちょっとはっちゃけて欲しかったなぁ…。

『狼狽爲奸』

2007-11-18 22:06:21 | カンフー映画:佳作
狼狽爲奸/狼狽為奸/鬼馬小子
Wits to Wits/From China with Death
Dirty Partners/Duel of the Dragons
1974

▼以前紹介した『石破天驚』と同じ于洋(ユー・ヤン)主演作である。武術指導が袁和平(ユエン・ウーピン)で、絡み役にも同じ様な面子が出ており、もしかすると『石破天驚』と同じプロダクションの製作かもしれない。ちなみに本作は午馬(ウー・マ)の監督作品でもあるが、製作年度を考えると午馬作品でも初期に位置するものと思われる。

■于洋は詐欺師で風来坊で大泥棒な無頼漢。今日も賭場でひと暴れした後、汽車で切符をごまかし無銭乗車を働いた。その時、于洋と彼に時計をスられた午馬の間に因縁が残った。
一転、舞台は上海へと移る。そこでマフィアの頭目である石堅(シー・キェン)が仕切っている賭場に立ち寄った午馬は、再び1人勝ちしている于洋と出会う。だが石堅が現れ、勝負を迫られた于洋は勝ち目の無い勝負と解ると、潔く手を引いた。
于洋はこの町で金庫破りを計画していた。しかし午馬もまた同じ事を考えており、2人は以前の一件もあって互いに足を引っ張り合うが、目的が同じなので意気投合。石堅に銀行を襲撃させ、その隙に午馬がそっくり金塊を盗み出した。
もちろん于洋はハナっから石堅を利用するつもりだったのですぐにトンズラし、ついでに午馬も始末しようとする。が、したたかな午馬はその企みを見抜き、于洋と激突を繰り広げる。ところがどっこい、金塊は真っ赤なニセモノ!実は銀行と石堅は裏で繋がっており、銀行はニセの金塊で不当な利益を貪っていて…要するに、于洋たちは石堅の手のひらで踊らされていたに過ぎなかったのだ。
金塊が偽物であると知った于洋たちを始末すべく、石堅は大勢の追っ手を動員して2人を捕まえた。処刑の直前に于洋は「待ってくれ…タバコが吸いたいんだ」と最後の願いをする…。だが、これこそが于洋の隠し玉・タバコ爆弾だった!
爆発に乗じて形勢逆転した2人は最後に残った石堅と戦う。だが、その背後には警察の追及が迫りつつあった…。

▲本作は『石破天驚』同様、絡み役が馮克安・太保・袁信義・任世官・黄蝦・李超・元奎・袁祥仁・そしてユンピョウと、かなり豪華な連中が揃っている(袁祥仁だけどこにいたかは解らなかったが…)。『石破天驚』ではラスボスが田豊だったのでイマイチ締りが無い感じだったが、本作では石堅が貫禄を見せており、クライマックスのバトルでは激しい立ち回りを演じていた。
それだけでも見どころに足り得るが、本作で1番の特色はなんといっても午馬が強い(!)ということにある。午馬は『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』でも強い役を演じたが、そんな彼がバリバリの功夫アクションで戦う姿は結構新鮮に見える。本作では于洋と対等に戦い、午馬VS袁信義や午馬VS馮克安という奇天烈なバトルを展開しているのだ(しかも勝ちます)!
それ以外にはこっそりと于洋VS任世官なんてレア対決もあり、ストーリーもオチが小気味良くスッキリしている(もっとも、于洋の独特な髪の解き方を見るに、洋画か何かに元ネタとなったストーリーがありそう)。
なお、ジャッキーは私の見る限り出ていないようです。

更新履歴(2007/10月)

2007-11-17 08:38:31 | Weblog
そういえば全然やっていなかったので更新履歴を…。
こうして見てみると27日だけ浮いて見えるなぁ(爆

10/02 『黒[王攵]瑰』
10/03 『燃えよデブゴン7』
10/04 『砲[イ馬]俥』
10/05 更新履歴UP
10/06 『ハード・リベンジ』
10/07 『ブルース・リー/恐怖の鉄拳 死の香り』
10/08 『香港麻薬捜査官』
10/09 『ニンジャファイター 機密ファイル奪回作戦』
10/11 『激突!蟷螂拳』
10/13 『夢拳蘭花手』
10/14 『扮野小子』
10/15 『歩歩追殺』
10/17 『猛男大賊[月因]脂虎』
10/18 『ニンジャ・キッズ』
10/19 『功夫小子』
10/20 『一網打盡/一網打尽』
10/21 『ドラゴン特攻隊』
10/22 『Ninja Champion』
10/24 『Angry Tiger/Spirits of Bruce Lee』
10/26 『武道大連合・復讐のドラゴン』
10/27 『烈火のヒーロー』
 『ザ・ファイター/炎のラスト・マッチ』
 『ブラッド・マッチ』
10/29 『新龍争虎鬥』
10/30 『闇武者』
10/31 『サイキックSFX/魔界戦士』

『豹飛客/黒豹飛客』

2007-11-17 08:12:54 | バッタもん李小龍
豹飛客/黒豹飛客
英題:Enter the Invincible Hero
製作:1977年(1981年説あり)

●えーっと…残念ですがまた巨龍作品のレビューです。さすがにこれ以上続けるとブログの運営そのものにも関わる自体になりかねない(嘘)ので、今回の巨龍作品連続レビューはこれにてラストとさせていただきます(爆
 巨龍は足技ファイターとの共演が多い。同じ韓国の黄正利とは前回の『雷拳』などで、劉忠良とは『雑家高手』で、本作では別命"人間発電機"と呼ばれる[上下]薩伐(カサノバ・ウォン)が相手を務めている。
[上下]薩伐自身も黄正利ら韓国系スターとの共演が結構あるので、巨龍との邂逅も必然であったと言えるかもしれない。[上下]薩伐は韓国映画界で銀幕デビューを果たし、いくつかの作品に出演していたが、彼の脚技に目を付けたサモハンの招きにより、『必殺!少林寺武芸帳』で香港映画に登場した。
 かつて李小龍(ブルース・リー)がブームを巻き起こした際、彼の素早い脚技は"李三脚"と呼ばれた。
李小龍の死後、新たなスターを探していたGH(ゴールデン・ハーベスト)はこの"李三脚"を再演できる脚技ファイターを欲し、黄仁植や譚道良がGHのスクリーンで戦った。[上下]薩伐の出演もその流れからの出演だったと思われるが、『少林寺・怒りの鉄拳』『燃えよデブゴン10・友情拳』に出ただけに止まった。その他は独立プロ系か韓国での活動が主だったようで、本作は韓国での仕事の1つである。
ちなみに本作のオープニングは巨龍と李海生(リー・ハイサン)のバトルで始まるが、これは本編とは何の関係も無いシーンで、勝手に後から付け加えられたものと思われる(なお、本編は功夫片です)。
 物語はやくざ者でプータローな巨龍が、かつての親友だった[上下]薩伐と闘っていくというものだ。[上下]薩伐は人格者を装っているが、その正体は地主と結託して邪魔な護衛団をぶち壊してしまおうと企む悪党だった。巨龍は親友との再会に喜ぶが、不可解な出来事に遭遇するうちに事件に巻き込まれ、嫌がおうにも親友と拳を交える事になってしまうが…。
 本作での最大の見所は、なんといっても巨龍VS[上下]薩伐だ。ラストバトルで[上下]薩伐の変幻自在の足技がスゴく、巨龍も負けじと奮闘しているが、やっぱりここは[上下]薩伐の方に目が移っちゃうところ。本作のアクションは殺陣に一定のリズムが見い出せないものの、それなりに頑張っている。惜しむらくは[上下]薩伐のアクション自体がそれほど多くない事だが、それ以外の面に関してはボチボチか。とりあえず一見の価値はあります。