功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『サイキックSFX/魔界戦士』

2007-10-31 22:51:00 | カンフー映画:駄作
「サイキックSFX/魔界戦士」
奇縁
WITCH FROM NEPAL/A TOUCH OF LOVE/NEPAL AFFAIR
1985

●こりゃまた訳の解らない作品だなぁ…。ポニーキャニオンがリリースした「香港ファンタスティックビデオシリーズ」のうちの一本。あのシリーズで自分がまだ見ていないのは『人嚇鬼』『霊幻追鬼』『アーメン・オーメン・カンフーメン』ぐらいかな(とはいえ、全部見たいと思うようなものじゃないのだが)。
で、本作は『妖刀・斬首剣』に引き続いて程小東(チン・シウトン)がメガホンを取った作品だ。先のポニーキャニオン版予告編では主演の周潤發(チョウ・ユンファ)と朱寶意(エミリー・チュウ)のラブシーン、一瞬で爆散する狄威(ディック・ウェイ)、天井を突き抜けるエレベータ、ビルの間を吹っ飛ぶ周潤發などがあり、個人的には程小東版『AKIRA』か?と思っていたが、実際はかなりタルいものでした。
ヒマラヤ奥地の神の使いが悪魔の使い狄威に負け、新たな神の使い候補である周潤發に朱寶意が近付く。あの予告編を見ていたら、ここから超能力に覚醒した周潤發が程小東お得意のワイヤーアクションでビュンビュンと香港の大都会を飛び回るのでは…と思うところだが、実際は周潤發と朱寶意のイチャイチャが続き、話が動き出すのは一時間を過ぎてからだ。はっきり言ってかなりかったるい。
周潤發は何を根拠に行動しているのか良く解らないし、既に彼女がいるにも関わらず朱寶意とラブラブしまくっている図には違和感を感じた。全体的に演出も間延びしているし、いつもの程小東らしい素早さが感じられなかったのは痛かった。
ちなみに本作の武術指導は程小東を筆頭に、"五毒"の郭振鋒(フィリップ・コク)、『レディ・ウェポン』や『妖刀・斬首剣』でも程小東と組んだ劉志豪、独立プロの勇である徐忠信とそうそうたるメンバーぞろいだ。にもかかわらず本作のアクションシーンは大半がワイヤーでバサバサ飛んだり跳ねたりするだけで、肉弾戦は冒頭とラストにちょっとずつという有様だ。『少林寺三十六房』で童千斤を演じた呉杭生も出ているとのことだったが、冒頭登場する先代の神の使いがそれだろうか?だとしたら狄威とのショウブラ出身同士の対決として興味深いものがある。
が、スタッフは充実していてもこの出来じゃあ…なんだか先日の『闇武者』と似た印象を感じました。

『闇武者』

2007-10-30 22:59:44 | 日本映画とVシネマ
「闇武者」
製作:2003年

●武術指導が『SPL/狼よ静かに死ね』の谷垣健治!ということで見てみたVシネ作品なんですが…これがまた、色んな意味でブッ飛んでた作品でした(爆
ストーリーは…ありません。これは誇張などではなく、ホントにストーリーが無いのです。琵琶に刀とロケットランチャーを仕込んだ主人公の耳なし芳一(なぜか水中眼鏡とヘッドギア装着)が、冥府魔道の怨霊たちを1人ずつ斬っていくだけで、話らしい話は存在しないのです(荒唐無稽さで言えばジミー先生の諸作品と同レベル)。
 ちなみに登場する怨霊は宮本武蔵、佐々木小次郎、アメフト装備の弁慶、足りない女っ気を補う為に性別を変更された牛若丸、三本の腕を持つ沖田総司、版権の関係で微妙な名前になった子連れ狼(作中では子連れ侍・頼一刀と小五郎)、そしてビリー・ザ・キッドという顔ぶれ。なんとなく『魔界転生』を彷彿とさせるメンバーですが、個々のキャラ付けはとことん薄味です。
物語はたまに前衛的なトリップ場面を挿入しつつ、最後は冥府魔道の主と最終決戦を迎えます。本作で谷垣導演は程小東(チン・シウトン)チックな殺陣を構築し、ワイヤーで主人公が空を飛び回る高度なアクションを演出していました。ラストは今まで倒した怨霊たちが復活してバトルロワイヤル…になりますが、敵が主人公そっちのけで小競り合いを始めたり、勝手に成仏したりとメチャクチャなことになっています(苦笑
オチは続編を匂わすものでしたが、流石にこのストーリー性の無さはキツ過ぎます。谷垣導演の担当したアクション以外に見るべきものが無く、ギャグともシリアスとも取れぬ演出が展開される様は、シュールを通り越して意味不明。個人的には一回見たらもう充分といった感じでした(汗

【2010年:追記】上記に「オチは続編を匂わす云々」とか書いてましたが、なんとまさかの続編『新・闇武者 魔道封印』がリリース決定!今回も谷垣導演が武術指導を担当しているようですが…み、見るべきかスルーすべきか……(滝汗

『新龍争虎鬥』

2007-10-29 22:32:31 | 女ドラゴン映画
新龍争虎鬥
Kickboxer's Tears
1992

●なにげに本ブログ初登場の李賽鳳(ムーン・リー)主演作だ。ちなみに自分が初めてVCDで購入した作品でもある。VCDとはビデオCDの略称。DVDが全盛を極める以前に活躍したもので、現在もリージョン云々など細かい制限が無いので(実際は再生するデッキとの相性問題もあるが)広く流通している。日本国内で発売している作品しか見ない人は結構知らないかも…?
八百長試合で負ける事を拒否したキックボクサーの盧惠光(ケネス・ロー)は、周比利(ビリー・チョウ)との激闘の末に、グローブに塗った目潰しで視界を奪われ、リング上で殺されてしまう。慮恵光の妹である李賽鳳は、復讐の為に周比利・大島由加里・そしてボスの龍方(ロン・フォン)と激闘を繰り広げる!
あらすじが時期的に微妙な気がするがそれはまぁさておき(爆)、本作の購入理由はズバリ、盧惠光Vs周比利の元キッキングファイター同士の対決があるかも?と期待した上であった。が、見るといきなり序盤にあって面食らいました(笑)。このバトルだけでも見た価値はあったと思うものだったが、李賽鳳の『天使行動』的な体当たりアクションも結構な迫力で、Vs周比利・大島・龍方のそれぞれの闘いもなかなかに壮絶。やはりラストの対決は『天使行動』みたく大島との対決で締めれば格好良かったかもしれないが、ラストは龍方との廃墟バトルで〆でした。
この龍方は劇中において大島や周比利のボスとして登場するものの、強さを誇示するシーンが無く、強敵として登場しているのは唐突な印象を受けた。ラストも有耶無耶のうちに終わっているのが気になるが、この手の話ではよくある終わり方なのでこれでいいのか微妙なところである。
ちなみに李小龍の名作とはビタ一文関係ありませんので、あしからず。

『烈火のヒーロー』『ザ・ファイター/炎のラスト・マッチ』『ブラッド・マッチ』

2007-10-27 23:50:26 | マーシャルアーツ映画:下
※…今回は文が少ないので一気に3本続けてのレビューです。


「烈火のヒーロー」
OPEN FIRE
1988

●かつて『燃えよカンフー』なるTVドラマの企画を立ち上げた李小龍(ブルース・リー)。その企画はハリウッドの人種的偏見等の理由により主役諸々を含めて奪われることとなり、李小龍に代わって主役になったのが今回紹介する作品の主演俳優であるデビッド・キャラダインだ。その"李小龍から主演を奪った男"が"李小龍の名を騙った男"呂小龍(ブルース・ライ)と共演するというので、アクションが駄目でも少しは期待できそうだったが…。
話としては異国の地でテロリストに娘と妻を奪われた州知事デビッドが、呂小龍師匠を同じくテロリストに殺された門下の美女軍団と協力してブッ潰す"だけ"の話である。
実際見てみれば解るが、本作はものごっつ薄っぺらい内容だ。しかもそこらのB級映画なんて凌駕するほどの、しかも怒りさえこみ上げてくるヒドい出来の!
アクションの比重はカンフーよりガンアクションが多いし、そのガンアクションもタルくてとても見られた物ではない。爆破シーンは派手だが、同じシーンを繰り返し流す低予算映画の常套句を並べられたとあっては、こっちも見た後相当落胆しました。よって「烈火のヒーロー」というタイトルは不適当。本当は「劣化のヒーロー」が正しいです。


「ザ・ファイター/炎のラスト・マッチ」
THE FIGHTER
1988

●リチャード・ノートンとベニー・ユキーデが対決しているとあっては見逃せない!…と思って早速見てみた作品。…うん、監督が『ザ・フューチャーハンター』『ミッション・ターミネート』のアンソニー・マハラジという時点で、どういう出来かと気付くべきだったです(爆
かつてスリだったノートンが出所して、心臓病の妹の手術代を稼ぐために黒社会のストリートファイトで闘っていくという擬似『ロッキー』が本筋。しかも肝心のアクションがかなり酷かったです。格闘アクションというかほとんどただの殴り合い同様で、全編に渡ってタルい雰囲気で席巻されている。従って、見ていて眠気が襲い来る事必至なのだ(涙
唯一救いだったのは、くしゃおじさんそっくりのデブレスラー、テクニシャン系の覆面レスラーと闘ってきて、ラストのベニー・ユキーデ戦はユキーデがある程度見れるアクロバティックなアクションをやっていたことくらいか(それでも遅いが)。


「ブラッド・マッチ」
Blood Match
1991

●ベニー・ユキーデがアクション監修を務めた珍作。
格闘技チャンピオンの兄を持つ主人公(?)は、ヒロインと一緒に兄の汚名を晴らすために、兄を陥れたと思われる4人のファイター(ユキーデ含む)を拉致し、一人ずつ殴り殺しながら真実を聞きだすという恐ろしく手間のかかる方法で真犯人を探していくが…。
見所はユキーデのみ!あとは2倍速で飛ばして見るべし!
先に紹介した二本の作品もヒドいものでしたが、恐ろしい事に本作はそれらにも劣る酷い作品でした。たった85分間の作品にもかかわらず、間延びした演出・アングルを変えたアクションを何度も繰り返すヘボ効果・全体的にやる気の無い出演者なんかを見ていくうちに、あなたはまた眠気に襲われることだろう(爆
とりあえず動きの硬いほかのキャストよりもズバ抜けた速さでアクションを披露するユキーデだけがまともに見れるポイントというか…つーかそこだけ見たらもうビデオデッキのエジェクトボタン押してもいいでしょう。ちなみに共演しているピーター・カニンガム(『検事Mr.ハー』でユンピョウと戦った黒人格闘家)は路上のチンピラ役でチラッと出てくるだけでした。

『武道大連合・復讐のドラゴン』

2007-10-26 22:20:26 | 倉田保昭
「武道大連合・復讐のドラゴン」
方世玉
The Prodigal Boxer
Kung Fu The Punch of Death
1972

●最近はいかがわしげな作品のレビューばかり(笑)だったので、今回は正統派な作品です。この孟飛(メン・フェイ)主演による方世玉モノである本作は、倉田さんが『小拳王』に次いで2度目の孟飛との共演作でもある。
製作した南海影業公司とはショウ・ブラザーズの下請け会社であり、張徹(チャン・チェ)もその出資者の1人であったため、本作がどこかショウブラっぽいのはそのためである。実際、この頃ショウブラにいた王清や馮克安・劉家榮といった脇役なども登場している。
孟飛と組んだ前作『小拳王』は『悪客』とのかけ持ちで撮影しており、スタッフが移行して昼は『悪客』夜は『小拳王』といった具合に撮影したという。その『小拳王』はフィリピンなど東南アジア諸国でヒットし、本作では更に好成績を記録したとか…こちらもいずれは見たいと思います。
そして、本作は父を殺された孟飛が、足技の倉田さんと手技の王清に仇討ちするため何度も挑んでは負けつつ、最後に擂台で見事に仇を討つ…という、非常にオードソックスで一切の味付けのない、ストレートな復讐劇だ。私としては孟飛作品はこれが初見となるが、デビュー間もなかったせいか、この作品で孟飛が披露するアクションはどことなくもっさりとしている。孟飛についてはこれから期待か。
その代わり、凄みがあったのがやはり倉田さんだ!この手技&足技ファイターとの対決というシチュエーションは、その後ジャッキー『Who am I?』にて再演されるのだが、ここで倉田さんは足技のみに固執せず、"足技使い"というよりも足技を重点的に使う"拳法家"として悪役・倉田保昭の魅力を発揮している。
それ以外に何があるかといえばあまり言及できない薄い作品ではあるものの、極初期の倉田さんが見られる作品として貴重かも?

『Angry Tiger/Spirits of Bruce Lee』

2007-10-24 22:55:02 | カンフー映画:佳作
Angry Tiger/Spirits of Bruce Lee
製作:1973年

▼李小龍が香港を席巻した頃、多くのバッタもんスターが現れた。が、バッタもんとまではいかずとも、李小龍的なアプローチを試みた既存のスターたちもいた。白彪、田鵬、そして本作の主演である陳惠敏(チャーリー・チャン)もそうだった。彼の場合は日本初お目見えとなった『空手ヘラクレス』の時からそんな感じで、『空手ヘラクレス』は拳を封印した陳惠敏が楊斯を倒すという薄っぺらい『ドラゴン危機一発』的な作品だった。
そしてこの映画も同じ様に『危機一発』の要素を持ち込んだものである。なにしろ『危機一発』同様にタイ(フィリピン?)で撮影されているからだ。熱気ムンムンのド田舎で濃い顔の男どもを陳惠敏が倒す本作は『危機一発』を髣髴とさせる。中文タイトルが不明で、もしかすると本作はタイ映画の可能性も考えられるが…。

■タイへ兄を探して降り立った陳惠敏は、そこで悪党を蹴散らす現地のナイスガイと出会った。
しかし兄は行方不明となっており、陳惠敏は兄を探してタイの地を放浪する。その後、滞在しているホテルの支配人のつてで華僑のおじさんと知り合えた陳惠敏。おじさんの家は喫茶店を経営しており、そこには都合よく可愛い娘(仮にタイの苗可秀と呼称します)もいたりした。
ところが従業員のデブが兄のペンダントを持っているではないか?デブとタイの苗可秀曰く、陳惠敏の兄は必死に何かを伝えようとしながら事切れ、2人にペンダントを渡したという。埋葬されていた兄と対面し、悲しみに暮れる陳惠敏は、必ず仇を討つと墓前で誓うのだった。
 それからおじさんの家へお世話になることになった陳惠敏だが、とある賭け事で兄の時計を担保として出している男を発見!そいつを問い詰めたところ「別の男からもらった」と言う。その時計を譲ったオヤジに「兄貴を殺したのは貴様か!?」と詰め寄る陳惠敏。オヤジが言うには"ミン・パン・チェン"という名のボスの命令でやったと白状した。
"ミン・パン・チェン"は功夫使いの手下を多く保有する悪党の親玉で、陳惠敏はタイの苗可秀らを巻き込みたくないと申し出るが、あくまでおじさんは協力すると言ってくれた。が、そんないい人たちを巻き添えにしないように、陳惠敏は皆が寝静まった夜に行動を開始した。
 敵の屋敷に潜入する陳惠敏(ちょっと『燃えよドラゴン』っぽい)。しかしボスを討ち損ね、なんとか屋敷からナイスガイの手を借りて脱出に成功した。一方で敵も黙っておらず、おじさんの家に火を放ったが、一行は既に脱出していて事なきを得た。「俺のとばっちりでこんなことに…!」足に怪我を負っている陳惠敏は涙を呑んだ。
そこからナイスガイの屋敷探索を挟んで(ナイスガイはやっぱり潜入捜査官だった!)、ついに傷の癒えた陳惠敏はおじさん一行と共に(笑)敵の本拠へと乗り込む!
 どうにかボスを打ち倒すがおじさんがやられ、更に敵に取り囲まれる陳惠敏一行!東映カラテ映画のようなムチ使いと日本人武道家(ただの浴衣着たおっさん)とのバトルの行方は…!?

▲本作を一言で表すなら、「綺麗な陳惠敏主演作」といったところだろう。
陳惠敏の主演作にはドロドロとしたエロいシーン、敵味方が容赦なく殺される、陳惠敏自身も役柄があまりいいものではない、そもそもストーリーが陰惨…といった点が挙げられる。ところが面白い事に、本作にはそれらの要素が全く無いのだ!死んでるのは敵ばかりで、味方の犠牲もラストまで最小限に抑えられている。
そればかりかアットホームな雰囲気のおじさん一行とのやりとり、『ドラゴン危機一発』とは間逆のエンディングなど、いつもの陳惠敏作品にはなかったポイントが多く見られる。アクション・ストーリー共にあまりいいものではないが、彼の作品としてはかなり小奇麗な一本だ。正直同じ『危機一発』的な作品としては『空手ヘラクレス』より本作が好きかな?

『Ninja Champion』

2007-10-22 23:33:53 | カンフー映画:駄作
Ninja Champion
1986

●史上最悪の映画プロダクション・フィルマークの親会社である、IFD製作のニンジャ映画だ。
今回犠牲となったのは韓国産のアクション映画で、そこにニンジャを足して地獄絵図となっている。元の話は悪党に強姦された過去を持つ女の復讐劇で、女のかつての恋人である男が彼女を助けようと奔走する…みたいな話のようである。本作ではそれにニンジャの暗殺計画を加味しているのだから、どれだけメチャクチャな映画になっているかは想像に難しくないだろう。
韓国パートの主演は林子虎(ジャック・ラム/ラム・ジョン・ホ)という人で、本作以外にも『Ninja Empire』や『Ninja Terminator』でIFD及びフィルマークの被害にあっている(涙)韓国のアクションスター。その他は白黄基といった韓国功夫片お馴染みの顔が登場している。アクション面ではあまり見るべきところは無いが、たまに眼の覚めるような足技がビシッと出てくることもあって見逃せない。それにしてもほんと巨龍(ドラゴン・リー)はちょっとだけだったなぁ…。
一方、ニンジャパートにはいつものリチャード・ハリソンとブルース・バロンが参戦。相変わらずのヘナヘナな特撮とニンジャごっこで場の空気を盛り下げていく。このバロンが殺る相手は4人で、それぞれ失笑モノの特技を見せた後にバロンに斬り殺されるというパターンで順調にやられていく。当然の事だがニンジャパートと韓国パートは完全に水と油状態で、まるでこのニンジャパートがCMのように見えるぐらいだ。
最後は韓国パートで展開された事件についてボスのニンジャが種明かしをし(もちろんセリフなどは勝手に吹替えてあるのでストーリーは支離滅裂)、ニンジャのバロンVSボスニンジャのぬるーいバトルで終わる。このバトルについてはラストがある意味圧巻で、公園で戦っていた2人のニンジャだが、遊具に引っ掛かったボスが簡単に刺し殺されてTHE ENDとなるのだ(爆
さすがにこれは誰も予想が付くまい。これでこそIFDの面目躍如といってもいいだろう(半ばヤケ気味

『ドラゴン特攻隊』

2007-10-21 22:24:11 | 成龍(ジャッキー・チェン)
「ドラゴン特攻隊」
迷尓特攻隊
Fantasy Mission Force
1982

●ジャッキーが『プロジェクトA』で大忙しだった頃、台湾のジミー先生に林青霞(ブリジット・リン)らと共に拉致…もとい、呼ばれて作られた戦争アクションである。この作品の発端は、羅維プロで作っていた『醒拳』をジャッキーが放りだしてGHの『ヤング・マスター』に行ってしまった事から起きたトラブルが元で、このとき羅維とGHの仲介をしたのがジミー先生だとか。ジャッキーはその後も『炎の大捜査線』でジミー先生に脅され…もとい、特別出演している。
この色々ときな臭い製作背景ゆえか、本作はジャンルも定まっていないような滅茶苦茶な内容になっている。戦争モノをベースにキョンシーが登場!アマゾネス部族が登場!鄭少秋(アダム・チェン)も登場!ジャッキー作品中1、2の怪作である『神拳』も真っ青な闇鍋っぷりだ。
武術指導は趙中興率いる趙家班。名前だけではパッとしないが、実はあの袁家班の流れを組むグループなのである。彼等は台湾を本拠として活動しており、趙中興は監督としても活躍。『ミラクル・ファイター奇門遁甲』『少女戦士88』で袁家班と共に組み、『バカ拳』などの功夫片、『幽幻道士』『新・桃太郎』シリーズといったキョンシー系列の作品で頑張っていました。スタイルとしてはワイヤーを多用したアクションが主で、本作でもそれなりの仕事っぷりを見せています。
さて、本来の主役はジャッキーではなく林青霞ら特攻隊の面々であるのは有名な話だ。拉致された4人の将軍救出のために、ジミー先生に選抜された彼らがストーリーの主軸なので、当時ジャッキー目当てに見にきたガキンチョのブーイングを喰らった事は想像に難しくない。その筋書き自体も正直面白いものではなかった…が、最後に特攻隊の面々が倒れていくとこはちょっとだけウルっときました。
それでもって凄いのはクライマックスだ。かたや袴姿に日本刀を振り回しながら車を乗りまわすサムライ、こなた白い仮面にハーケンクロイツのペイントをほどこした車で疾走する、謎の軍団が現れたのだ(爆笑)!
いつしか激戦の末に生き残ったのはジャッキーだけで、実は黒幕だったジミー先生とのラストバトルへとなだれこんだ。最後にジミー先生を爆殺(!)したジャッキーはグルだった将軍を見捨て、「将軍がなんだ…戦争反対だ!」と吐き捨てて死地を後にする。私も吐き捨てておきたい…「もう勝手にやってくれ!」、と(爆

『一網打盡/一網打尽』

2007-10-20 21:39:39 | カンフー映画:佳作
一網打盡/一網打尽
英題:The Thunder Kick
製作:1974年

▼功夫映画ドキュメンタリー『死闘伝説TRUBO!!』で最初にスタッフロールと共に流れるアクションシーンがある。染野行雄と濃い顔の李錦坤(ラリー・リー)が一進一退のバトルを繰り広げ、その場面は本編中にも李錦坤の項で再び登場する。実は本作こそがそのシーンがある映画で、監督は大怪作『癲螳螂』の葉榮祖が担当している。

■橋で通行料を搾り取っているチンピラどものところへ李錦坤が通りかかり、あっという間に連中を蹴散らした。しかし李錦坤の母は「ケンカはしないで」と嘆く…その裏にはかつて死んだ李錦坤の父の事があった。
ここまでの流れはいわゆる『ドラゴン危機一発』風だ。ケンカはしないと誓った主人公が拳を振るえず、悪党によって仲間や家族に間の手が伸び、そこでようやく主人公が立ち上がるというものだ。李小龍がブレイクした当時にバッタもん李小龍が横行したが、同様に李小龍の作品スタイルを倣った作品も数多く生まれた。それが『ドラゴン怒りの鉄拳』的な反日映画だったり、『ドラゴン危機一発』的な功夫片だった。本作の場合はここからがちょっと違うのだ。
 さて、その後チンピラどもが李錦坤のお礼参りに現れた。今度は用心棒の楊斯(ヤン・スェ)も一緒だが、ちょうど李錦坤の父を尋ねてきた南宮勲(ナン・ゴンクン)とお供の火星(マース)が立ち上がった。続いて李錦坤も加勢して勝負は決し、李錦坤と南宮勲は改めて墓前で父を弔うのだった。
その後も南宮勲と親交を深める李錦坤とその家族だが、さる事情から南宮勲は彼らの元から去っていった(理由は不明)。そして実家(?)へと帰ってきた南宮勲だが、そこに染野さんら3人組の悪党が現れた。
 染野さんは『龍の忍者』で真田広之に耳を切られた少林僧の役が有名だが、他にも数多くの仕事をこなしている。活動の本拠が台湾だったためか日本ではあまり知られていないが、映画出演以外にも台湾で自身の映画会社を起こし、『ゴーストパワーを持つ少女』などを製作し、現在は『忍者潜龍』のDVDインタビューで語られた豪華キャストによる大作、『大龍七戦』を製作中との事。
そんな染野さん一味に南宮勲が殺され、火星から訃報を聞いた李錦坤はさっそく染野の仕切る賭場へと偵察に向かった。そこでは日常的にイカサマが行われ、染野は不当な利益を貪っている。また、染野の手下である黄培基は阿片を横行させ、別の手下は身売りされた女を使って娼館を経営したりと、非道の限りを尽くしていた。かくして李錦坤は、黄培基・もう1人の手下・そして染野さんを次々と撃破し、南宮勲の仇を討つのだった。

▲生かし切れていない、という感じがする。李錦坤は相当な実力者である事が『死闘伝説TRUBO!!』で語られているが、本作での殺陣は全体的に思い切りが無く、非常にもっさりとしている。悪くはないが良くもなく、たまに目を見張るような連続蹴りが出てくるが、全体的にペースが守られていないのだ(見どころもラストバトルぐらい)。
クライマックスでの絡み役には劉家榮(!)・馮克安・袁信義といった凄いメンバーが確認できる。出演している黄培基もショウブラで武師の経験があり、武術指導も彼らが担当したのではないかと思われるが、私の所持しているバージョンはスタッフ等のクレジットが無いものだったため、よくわからない。その半端さ加減は作品でも生じており、特にこれといった山場も無いまま終幕している。
 総括すると「もうちょっと贅沢を言ってもいいのでは?」と思うところ。この面子ならもっとグレードの高いものが望めたと思うのだが。胃もたれがするほど濃い風体の李錦坤(笑)についてはこれからに期待か?

『功夫小子』

2007-10-19 21:28:57 | カンフー映画:佳作
功夫小子
英題:He Has Nothing But Kung Fu
製作:1977年

▼のちに様々な作品を世に送り出す劉家榮(リュウ・チャーヨン)の初監督作だ。実は彼の作品であまり面白いと思うようなものに出会ったことが無く、『魔宮拳』では劉家輝が劉家榮をこき使いまくって宝探しに利用し、『破戒大師』では逆に劉家輝が散々劉家勇らに振り回され、周潤發が悪役出演した『復讐は夢からはじまる』は文字通りのごった煮映画であった。
ちなみに彼の作品の中でも有数のヒット作である『魔界天使』もちょっと好きじゃないです。というのも、ホラーコメディと謳ってはいるがパッケージには気色の悪いメイクをしたゾンビみたいなのが大量に…それが気色悪くて、今も手に取っていない状態が続いています。
これ以外にはまだショウブラで監督した作品などが残っているが、本作はそんな彼の初監督作。色々と興味のあるところだが…?

■話はケチで調子のいい乞食坊主の汪禹(ワン・ユー…それにしても彼ってこんな役ばかりですねぇ)の七転八倒を描いている。金儲けに目の無い汪禹は方々で問題を起こすが、ある日記憶喪失の男・劉家輝と出会う。フーアムアイだが功夫の腕はかなり強い劉家輝に目をつけた汪禹は、劉家輝と共に功夫の修行をしながらも、以前痛い目に合わされた唐偉成の賭場でお礼参りに乱闘したりと相変わらずの調子のよさを見せる。
その後、汪禹と劉家輝は劉家輝の失われた記憶を探して旅をしていくのだが、その過程で劉家輝は良家の男で、江島の差し金によって放たれた刺客の唐偉成と銭月笙に谷へと突き落とされた事が発覚する。記憶の断片を探りながら迫り来る敵を撃破していく劉家輝と汪禹は、徐々に真相へ近付いていく…。

▲ストーリーの筋としてはこれだけだが、それにしても劉家榮は"珍道中"という展開が好きである。『魔宮拳』では劉家輝・李海生・劉家榮のトリオが羅烈を探し歩き、『破戒大師』では劉家輝・劉家勇・曾志偉のトリオが追いつつ追われながら機密文書を求めた。また、サモハンと共同で製作した『燃えよデブゴン/豚だカップル拳』も劉家榮とサモハンが互いに技を競い合いながら梁家仁と闘っていた。
本作はそれらの原点といってもいい作品だが、処女作だけに話は間延びしていたりとボチボチの出来だ。功夫アクションは天下の劉氏兄弟によるハイレベルな殺陣で、各所に李海生・劉家榮・唐偉成などといった劉氏系ではおなじみの猛者とのバトルを挟んで飽きさせない作りになっている。
しかし上記に物語の大体は解説してあるが、細部が解らずちょっともどかしい。ぜひとも日本語字幕入りで見直してみたいところだ。