功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

【春のBOLO-YEUNG祭り④】『ダブル・インパクト』

2013-04-21 22:53:27 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「ダブル・インパクト」
原題:DOUBLE IMPACT
製作:1991年

●『ブラッド・スポーツ』で健在ぶりを示した楊斯(ヤン・スエ)は、この頃から本格的にハリウッドへの進出を開始します。英名をボロ・ヤンに改め、再出発を誓った彼は次々と本格的な格闘映画に出演していきました。
ジョナサン・キー&ジェリー・トリンブル主演の『炎のマーシャル・アーツ』、香港ロケ作品の『Fearless Tiger』、シンシア・ラスロックと対決した『タイガークロー』などなど…。そしてヴァンダムから2度目のお呼びが掛かったのが、この『ダブル・インパクト』です。
この映画はヴァンダムにとって初のメジャー作品であり、スタッフやロケ地にとことん拘って製作されました。その甲斐あって本作は大ヒットを記録し、彼をトップスターの座へと押し上げますが、全体的なクオリティは同じ監督作の『ライオンハート』より劣っています。

 ストーリーは、香港に住んでいた設計技師の遺児である双子が、両親を殺した悪党どもに復讐を遂げるまでを描いています。しかし、双子のキャラクターが上手く差別化できておらず、個性に乏しいせいでイマイチ魅力に欠けています。
せめて兄弟でファイトスタイルを変えたり、両者の人物像を膨らませる描写を徹底していれば、結果は変わったかもしれませんが…。このイマイチな雰囲気はラストまで続き、最終的に敵を皆殺しにして終わります(必死に悪事の証拠を調査してたヒロインの立場は!?)。
 このように洗練されていない感じの本作ですが、楊斯の存在感だけは存分に発揮されていました。今回の楊斯は敵の用心棒として登場し、いきなりヴァンダム兄弟の両親を殺害!その後もヴァンダム(弟)を叩きのめしたりと、憎々しげな悪役っぷりを見せています。
最大の見せ場は終盤のVSヴァンダム(弟)戦で、キックとパワーが激突する好勝負に仕上がっています。惜しむらくは、この対決以外のラストバトルがどれも地味だったこと。楊斯が死んだあとも延々と戦いが続くので、ちょっと蛇足な感じがしてしまいました。

 ヴァンダムとの再戦を終えた楊斯は、それからも格闘映画への出演を継続するのですが、次第に演じる役柄に変化が生じていきます。決して香港映画時代には顧みられることの無かった、「善」としての存在…導く者としてのポジションを求められるようになったのです。
「春のBOLO-YEUNG祭り」も次回で最終回。本当は『Blizhniy Boy: The Ultimate Fighter』を紹介したかったのですが、ソフトを入手することができなかったので、「黒い楊斯」と共演した某作でお茶を濁したいと思います(爆
(次回へ続く!)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿