功夫電影専科

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『DRAGON BLACK 第2章』

2016-06-18 23:26:20 | 日本映画とVシネマ
「DRAGON BLACK 第2章」
製作:2015年

●元スタントマンの虎牙光揮は、前作で犯罪組織・関東蛇蝎会を壊滅させたが、本当の敵は永岡佑らエリート刑事たちであった。彼らは蛇蝎会を操り、やくざと結託して甘い汁を吸い続けていたのだ。
警察とやくざの両方から追われる身となった虎牙は、潜入捜査官だった木原勝利と協力して自らの死を偽装。かつて警察学校に在籍していた頃、指導と称して自分たちを虐待していた先輩刑事らが黒幕だと聞かされる。
木原は執念の捜査によって連中の尻尾を掴むが、悪に染まった永岡によって射殺されてしまう。入院中の恋人・武田梨奈に別れを告げた虎牙は、すべての決着を付けようと戦いを挑むのだが…?

 さてこの作品は、石川二郎が監督を務めた『DRAGON BLACK』の続編で、スタッフやキャストもそのまま続投しています。前作は格闘シーンに対する拘りが強く、ストーリーにも見所のある力作でした。
ところが前作に集中し過ぎた反動なのか、本作はやや息切れを起こしているような印象を受けました。まずストーリーについてですが、こちらは“権力者=悪”という図式を徹底して貫いており、警察に対する不信感が何度となく煽られます。
 おかげでサプライズに乏しく、序盤で使ったネタを再利用しただけのラストは悪い意味でツッコミどころ満載(ヘッドショットの危険性を考慮しない、都合よく黒幕だけが現場に居残る不自然さ等々…)となっていました。
また、中盤で協力者の六平直政が思わせぶりに退場し、「これはラストバトルで颯爽と助っ人に来るパターンか!?」と期待させられますが、そのような展開は一切ありません(涙
こうした物語上の難点は前作から存在しています。ただ、本作ではそれをカバーできるほどのインパクトに欠けており、そのため粗雑さだけが浮き彫りになる結果を招いてしまったのでしょう。

 格闘シーンの頻度も前作から落ち込んでいて、以前は3回もあったタイマン勝負が本作ではラストの虎牙VS永岡のみ。今回は武田も木原も戦うことはなく、敵の先輩刑事たちも動けるキャラではないため、著しいスケールダウンが発生していました。
立ち回りの内容に関しても、ファイトスタイルの差別化や優劣のロジックなど、前作にあった拘りをすべてカット。先述のVS永岡ではアップを多用するカメラワークが災いし、ハイキック等の動作が見辛い(迫力が削がれている)という問題も起こっています。
とはいえ、永岡の動きはラスボスらしく俊敏だったし、虎牙も集団戦では複雑な殺陣を見事に演じ切っていました。ボリュームが減ったとはいえ、アクション自体の質はそれほど変わってはいないようなので、もし次回作があれば是非とも見てみたいですね。