一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『公共事業が日本を救う』

2011-02-13 | 乱読日記
「道路不要論」に対する反論の書。

民主党政権のキャッチフレーズのひとつに「コンクリートから人へ」というのがあるが、日本のインフラは現状で十分だというのは統計のまやかしであり、実際は違うということを、主に道路を中心に説いています。

以前川崎に住んでいたときに、国道1号線で多摩川大橋を渡ると、いきなり最初の信号で3車線の一番右側がそのまま右折専用レーンになってしまい(右折専用レーンがない)、東京と神奈川のインフラの違いを実感していました。
この右折レーン問題はゴルフなどで千葉や埼玉に行くたびに、交通渋滞の現況なのではないかと感じます。

また、橋などの構築物の更新(首都高速って50年になるけど大丈夫なんだろうか)や船舶の大型化に伴う港の競争力強化など「既にあるからいい」というわけでもないというのもわかります。


そして本書の後半は、デフレ脱却にこそ公共工事が必要という景気対策の話になりますが、ちょっとここは贔屓の引き倒しの感じがあります。
「不景気のときこそ国債を発行して公共事業を」というのは景気対策の一つとしてはあると思うのですが、橋やダムなどについて論じている部分での災害対策や更新投資も含めた長期的な計画が必要、という議論からはちょっと飛躍があります。
(景気対策ならば、「広く浅く」でなく一気に新しいインフラを整備するようなものがいいような)

新書版+問題提起ということなので「道路不要論」への反論に絞っているのも仕方ないとは思いますが、ではなぜ道路整備が進まないのか(土地収用の問題とか)、都市圏の渋滞解消と地方のアクセス向上のどちらを優先するのか、縦割り行政と都市計画の問題など現状の公共事業の課題にも触れてもらえると公平だったのではないかと思います。



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