一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

ラサ工業と沖大東島

2010-10-14 | あきなひ
尖閣諸島問題にからみ、東シナ海・南シナ海での領土問題がクローズアップされています。

「中国の海洋戦略」を読むと、中国海軍は近海だけでなく外洋(下図の「第2列島線」)まで行動範囲を広げようとしているそうです。

 



ところで、南大東島のさらに南、位置的には台北から東に伸ばした線と鹿児島から南に伸ばした線の交わるあたりに沖大東島という島があります。


 


実はこの島はラサ工業という上場会社(4022)が所有しています(参照)。 

そもそも社名の「ラサ」というのは沖大東島が「ラサ島」と呼ばれていたところから来ています(こちらのエントリ参照)。 


このラサ工業は過去2期営業赤字が続き、事業のリストラでの特損を資本準備金を振り替えてまかなうという土俵際の状態です。
そのため株価も低迷し時価総額は50億を切っています(参照)。


   


一方で、沖大東島はその場所から、領海や200海里の排他的経済水域の面からも重要です。
さらに国連海洋法条約で大陸棚の限界延長が認められたため、海底資源の面からも重要性を増しています(参照)。
(下の図のオレンジのところです。)
   とすると  


   50億円弱で沖大東島が買えると考えれば安い買い物だ


と考えるどこかの国も出てくるのではないでしょうか。  


土地を外国に買われたとしても、日本領土は日本領土ですし現状は米軍の射爆場として使われているのですぐに実効支配は難しいですが、米軍との契約が切れたときに更新せず、さらに住民を20~30年住まわせたあとに独立を宣言し、当該国への帰属を申し立てるとかいう可能性はあるかもしれません(そういうことが国際法上可能なのかはわかりませんが50年、100年単位の計画を立てれば不可能でもないかと)。  


そこで、たとえば某国が背後にあると思しき企業とか転売をもくろむ投資家がいきなりTOBをかけてきたら?  


これに対して国がTOBで対抗するというのも、予算のしばりや意思決定のしくみなどから考えて現実的ではない感じはします(やるとしたら財務省理財局なのでしょうか)  

そうすると、会社は沖大東島の所有権を国に売却するという対抗措置を取るのでしょう。
敵対的買収に対する防衛策のひとつ "crown jewel" ですね(「焦土化作戦」というと既に射爆場なのでストレートすぎるか)。  


このとき、会社の取締役は所有権にいくらの値段をつけるのが適当なのでしょうか。 

善管注意義務という点からは、固定資産税評価額+αであれば大丈夫でしょうが、株主のためという点では、国の足元を見てできるだけ吊り上げるのが筋になります。
ただ、それは社会的には非難ごうごうでしょう。 

また逆に、「株主からはなんでもっと粘らないんだ」と言われるリスクもあります。

普通のM&AのようにFinancial Advisorをつけて価値評価をさせるというのも金の無駄遣いですが、第三者間の公正な取引だと説明するのは難しいですね。 

企業側も銭金だけでなく「国益への配慮は最大のCSRだ」などとと考えると、なかなか難しいところです。  


そうなると、国に土地収用をしてくれ、というのが現実的な解決策になるのでしょうか。 
ただ、収用にあたっては、TOB期間内に土地収用の事業計画(自衛隊の基地を作るとか)を決定しなければならないあたりがネックになるかもしれません。  



法治国家とか企業のCSRというのもいろいろ大変です。



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