一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか』

2008-12-02 | 乱読日記
toshiさんのブログで紹介されていたので読んでみました。

ベースは朝日新聞に連載された内部告発の特集記事ですが、まとめて整理されると読み応えがあります。
登場する会社の隠蔽・偽装や内部告発者の決断だけでなく、告発を受けた行政や内部通報窓口の対応、記事にする記者の立場などそれぞれの立場から多面的に語られている特に前半部分が興味深く読めました。

ただ、ちょっとひっかかったのは、偽装は別としても、「結果的に問題になること=間違い」というようなマスコミを中心とした視点のありかたがここにも現われているところです。
本書にも通報を受けた監督官庁の担当者のセンス次第で問題化するのか「事なかれ」で処理されるかの違いがあるように、内部告発を待たずに企業が自主的に事故報告した場合の行政の対応の予測が困難な場合は、結果として「隠蔽」と言われてしまったりする可能性があります。
たとえば事故報告をしても(特に昔は)と暗に「妙な波風を立ててこっちに迷惑をかけるな」風の対応をされた場合の対応や、逆に(最近のように)軽微な事故・違反でも大騒ぎになって(過去の処分に比べても)過剰に厳しい処分を下されるような場合、企業としては対応が難しいところがあります。

それこそ取材が難しいのでしょうが、事件にならずに企業が適切な対応をしたり、自浄作用や内部通報制度が機能している、というのはどういうものなのか、という事例も紹介してもらえれば、より立体的な分析ができたように思います(そういう「事件」にならないものは記事にしないのかもしれません)。

「朝日新聞」「偽装」とくると、僕は1989年の珊瑚記事捏造事件を真っ先に連想してしまうのですが、自分のことは置いといて「企業はなぜ間違うのか」という上から目線もないだろう、と思ってしまうんですよね・・・
(改めて調べてみて、この事件で捏造された落書きのイニシャルが「KY」だったというのに笑ってしまいました。)


組織は間違うからこそ内部通報制度がある、間違いが発覚したときの対応や二度目の間違いを起こさないためにどうするか(その一つの手段としての内部通報制度をどう生かすか)、というところがホントは一番大事なことだと思います。







コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« リプラス亡き後 | トップ | 弁理士と弁護士の弁別 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

乱読日記」カテゴリの最新記事