成り行き上フォローしているFCレジデンシャル投資法人ですが、動きがあったようです。
それもちょっと怪しげ・・・
(過去のエントリーはこちらとこちら参照)
まずは投資法人のリリース
投資主総会の招集請求書受領後の一連の経緯と今後の方針について(2011年2月8日)
12月の解散請求から今まで何をしていたかというと
本投資法人は、解散を目的事項とする投資主総会の招集を決定するに当たり、本請求書に記載されている投資主総会の招集の請求理由である本投資法人の解散および本投資法人の保有する全資産の売却手続が安定的に行われるかどうかの検証作業を行ってまいりました。具体的には、本請求書記載の資産購入希望者(以下「本希望者」といいます。)が行うデュー・ディリジェンスに協力し、その結果、本希望者より平成23 年1 月 21 日付で一定の条件の下で本投資法人の保有する全資産の購入を希望する旨の申し出を受けましたので、当該申し出で提示された条件および売買価格の妥当性につき、法令及び資産運用委託契約に基づいてどのように取り扱うべきかを検討したうえ、資産運用会社に対し検討を依頼し、その検討結果を待っている状況でございました。
つまり、解散請求したSJも、既に買い手候補を見つけてきていて(まあ、そうでなければ解散しても叩き売りになってしまいますから)そこに価格提示をさせていた、ということですね。
その価格が資産評価額より安ければ解散して売るのは得策でない、という理屈でしょう。
一方で かかる状況下、本投資法人はともに平成23 年2 月7 日付にて解散を目的とした議案に反対する意向表明書(以下「本意向表明書」といいます。)を下記投資主(以下「反対投資主」と総称します。)より下記内容を骨子として受領いたしました。
(1) Ichigo Asset Management International, Pte. Ltd.の意向表明書
・ 投資口保有比率:Ichigo Asset Management International, Pte. Ltd は、本投資法人の発行済投資口総数の約33.24%を保有している(平成23 年2 月8 日付で33.24%を保有している旨の大量保有報告書が同社より提出されております。)。
・ 表明された意向の概要:本投資法人の解散を目的とする議案には不同意とすることを決定し、解散を目的とした投資主総会の開催を決定しないように依頼する。
・ 反対の理由:投資主の皆様のための価値向上の最良の方策は、今後も継続法人として投資主価値の最大化を図ることである。
いちごはもともとスポンサーのファンクリと提携関係にあるのですから、裏切らずにサポートすることにしたのでしょう。
投資口も従来29.41%だったものを3.8%買い増しています。
(2) JPE Capital Management LTd.の意向表明書
・ 投資口保有比率:JPE Capital Management LTd.は、本投資法人の投資口保有比率について言及していない。(ただし、平成22 年10 月31 日の最終の投資主名簿において同社は実質的に本投資法人の発行済投資口総数の8.08%を保有している。)
・ 表明された意向の概要:本投資法人の解散を議案とする投資主総会が開催された場合、かかる議案の採決につき否決することを決定した。よって投資法人の執行役員においては、かかる議案を目的とした投資主総会の開催を決定しないように依頼する。
・ 反対の理由:特に記載なし。
こちらはファンクリが説得したのでしょうか。
その結果
・・・エスジェイ・セキュリティーズ・エルエルシーによる解散を目的事項とする投資主総会の招集請求に対して、発行済投資口の保有割合で合計3 分の1 を超えると思われる投資主より解散に反対する旨の意向表明を受領しており、よって解散を目的とする決議が成立しない蓋然性が高い状況になりました。
また、反対投資主により本投資法人に対し投資主総会の招集を決定しないよう要請があり、本投資法人が投資主総会の開催を決定することは投資主総会の開催費用の費用負担を生じさせ、かえって投資主の皆さまの利益を害する結果になるのではと懸念しております。
したがいまして、本投資法人としましては反対投資主の本投資法人の投資口の保有比率等を早急に確認の上、また、本希望者により提示された条件および売買価格の妥当性に関する資産運用会社の検討結果を受け、速やかに結論を出す所存でおります。
要するに、解散決議の否決に必要な1/3は確保したので総会を開いても無駄になるので解散の総会招集請求には応じないぞ、と匂わせています。
ファンクリが時間稼ぎしながらがんばった、というように読めます。
ところでいちごの大量保有報告書(発行者コードE14150で検索してみてください)を見てみると、2月2日に3.82%を市場外で@300,000円で取得した、としています。
2月2日の終値が@245,600円ですから34%ものプレミアムがついています。
では誰から買ったのかですが、そもそも3.82%以上持っている投資主はいちごとSJを入れても5人しかいません。うち4人は5%超持っているので、他の4人が売った場合は大量保有報告の提出義務があります。
2月2日の取引だと大量保有報告書の提出期限は2月9日なので翌日チェックしたところ、JPEが3.82%売却していたという報告書が提出されました。
要するにJPEに対して「寸止めプレミアム」を払って投資口を取得した、という構図ですね。
でも、
① いちごの大量保有報告
② FCレジのリリース
③ JPEの大量保有報告
というリリースの順番は、示し合わせた感じがします。
特に
JPE Capital Management LTd.は、本投資法人の投資口保有比率について言及していない。(ただし、平成22 年10 月31 日の最終の投資主名簿において同社は実質的に本投資法人の発行済投資口総数の8.08%を保有している。)
という部分はカマトト風です。
JPEの大量保有報告を遅らせたのは(もしそこに意図があるとすれば)なぜかと考えてみると、 「いちごがJPEから高値で投資口を1/3ギリギリまで買いました。JPEも解散には反対です」というと、JPEといちごの親密さが目立ってしまい、「議決権を共同で行使する合意が成立しており、TOB規制違反ではないか」という疑いを避けたのではないかと思われます。
でも、@300,000円という価格は「高く買うからついでに反対してよ」というやり取りを想像させますね。
また、そもそもいちごは投資ファンドなのでFCレジが解散しようが高値で売り抜けられれば問題ないはずです。
にもかかわらず今回SJの解散請求を時価より34%高の@300,000円で買い増してまで阻止しようとしたのは、いちごがSJの連れてきた「資産購入希望者」の購入希望価格が低いと知っていたからではないか、という疑念が生じます。
そうすると、3.82%の取引はインサイダー取引にならないのでしょうか?
バスケット条項に該当するかどうかというところなのでいろんな見方があると思いますが、解散請求時における投売り価格の提案というのは重要事実になるようにも思えます。
特に今回の手続きで解散請求まで進めた場合、デューデリをしている「資産購入希望者」は実質的にはアドバンテージがあるわけなので。
そんなこんなでFCレジの反撃は時間差攻撃にで始まったようですが、タッチネットやトラベリングにならないのか生温かく見守ろうと思います。