ジョージ・ソーンダーズ『人生で大切なたったひとつのこと』(外山滋比古、佐藤由紀訳)がすばらしい。
今日のGetUpEnglishは本書の一節を紹介する。
著者は言う。
「としより」が役に立つことがひとつある。それは、「人生を振り返って、あなたが後悔していることは何ですか?」とたずねれば、きっと答えてくれることだ。
そして、(ややネタバレになってしまうが)「としより」のひとりである著者ジョージ・ソーンダーズはいろいろ話したあと(この話が実に面白い)、最後に言う。
What I regret most in my life are failures of kindness.
わたしが人生でもっとも公開しているのは、「やさしさがたりなかった」ということです。
本書は原文対象になっているので、わたしのような英語オタクには大変ありがたい1冊である上に、上の訳を見ればわかるように、日本語訳がすばらしい。
イタリックになっているfailures of kindnessは、「親切心を示すべき場面でそれをしなかった」、もしくは「十分な親切を示さなかった」ということを示す。
failureは「失敗」であるが、ここでは「(必要なことを)しないこと, 不履行, 怠慢」(コンパスローズ)の意味で使われている。この意味では単数、複数どちらでも使えるのだが、failuresと著者がしていることから、「何度かやさしを示せるチャンスがあったのに、それをしなかった」というニュアンスが読み取れる。訳者(外山滋比古、佐藤由紀)の「やさしさがたりなかった」にはその感じが絶妙に表現されている。
このfailuresを使った用例をいくつか紹介しよう。
○Practical Example
I regret my failures of kindness towards my colleagues when they needed support.
「同僚がサポートを必要としていた時に親切にできず、今も悔やんでる」
●Extra Point
引用した英文を少し膨らませるとこんな言い方ができるだろうか?
◎Extra Example
Reflecting on my life, my greatest regrets are the failures of kindness, the moments when I could have been more compassionate.
「人生を振り返り、何より後悔しているのはやさしさが足りなかったことだし、いくつかの場面でもっと思いやりを持てたらよかったと思う」