GetUpEnglish

日常よく使われる英語表現を毎日紹介します。毎日日本時間の午前9時までに更新します。英文執筆・翻訳・構成・管理:上杉隼人

GetUpEnglishについて

毎日更新! GetUpEnglish Updates Every Day! Since April 1, 2006 (c) 2006-2024 Uesugi Hayato(上杉隼人)

DELIBERATE, UNUSUAL, GESTURE, ETC.

2024-05-04 06:05:10 | 翻訳術
 今日のGetUpEnglishは英日翻訳の実践方法について、少し書いてみたい。
 たとえば、Douglas Wolk, All of the Marvels: An Amazing Voyage into Marvel’s Universe and 27,000 Superhero Comics(2022)に次の表現がある。

Like almost all of Simonson’s Thor, that sound effect was lettered by John Workman, who also made deliberate, unusual visual gestures...
 
 これを普通に訳せば、

「サイモンソンの『ソー』のほとんどすべてと同じように、ジョン・ワークマンが文字を担当した。ワークマンはまた意図的で、奇妙な視覚的ジェスチャーを用いた」

くらいになるだろうか。

 だが、まず考えるべきは、ワークマンのしていることが好意的に書かれているはずだから、そのことが明確に伝わる言い方にすべきだし、その視点からdeliberate, unusualの処理を考えるべきだ。特にunusualは「普通でない」だが、この日本語は言い方によっては悪い意味にとらえられてしまうことが多いので注意しなければならない。

 ここではワークマンがよく考えた(deliberate)オリジナル性あふれる(unusual)工夫や意匠によって対応した(gesture)と好意的に書かれていると読み取れる。「こうした単語がこうした意味で使われてこの英文は書かれている」と瞬時に判断できればしめたものだし、普段から「英語の核の意味」を確認しておく、大量に英語を読み込む、大量に英語を聴き取る、大量に英語を書く、大量に英語を話すことで、状況に応じた使い方に対応できるようにしておくことが大切だ。

 deliberate, unusual, gestureの訳し方が問題となるが、ここでは

 ウォルター・サイモンソンが手掛けた『ソー』のほとんどの〝音〟の文字描写は、ジョン・ワークマンが担当した。ワークマンはそれ以外にも独特の視覚的工夫を凝らした。

くらいにすれば、unusualは「独特の」で、deliberateとgestureは「工夫を凝らす」によって「品詞転換」や「順番を入れ替える」ことで対応できると思う(ここでは形容詞deliberateを「凝らす」と動詞に品詞転換してみた)。
 
 日英翻訳では品詞転換や語順の入れ替えはよく考えるし、わたしの場合、文芸作品以外の日常の文書で日英翻訳をする際に事務的にこうしたことを大量に行わなければならないので、むしろそれがいいトレーニングにもなっているかもしれない。

[補足]
 unusualを辞書で確認すれば、「並はずれた、まれに見る」(リーダーズ)の意味も示されている。
『コンパスローズ英和辞典』には、

 a person of unusual ability 並はずれた才能の持ち主

という明快な例文も示されている。
『リーダーズ』『コンパスローズ』も研究社の辞書だが、信頼できる辞書を使うことがすべての英語学習者には求められる
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