実家の父の仕事場にちびた鉛筆がきれいに並べられていた。
懐かしさと愛おしさと一抹の寂しさを感じた。
私たち兄妹が小学生の頃、毎朝鉛筆を削ってくれたのは父だった。
鉛筆が小さくなるとサックを付けて、削れなくなるまで使.ったものだった。
鉛筆削りが普及すると、鉛筆削りで削れなくなった鉛筆は捨てられた。
成長と共に、鉛筆はシャープペンシルやボールペンに置き換えられて、いつの間にか使わなくなった。
普通の生活が普通になると、ちびた鉛筆は世の中から姿を消してきた。
ちびた鉛筆を忘れていたように、自分も何かを忘れてきた気がした。
きっといつか見られなくなる・・ちびた鉛筆。