(前の記事からの続き)
統合失調症の治療では、
家族心理教育を受けると、 患者の再発が40%低下しました。
BPDの心理教育では、 BPDの情報が不足しており、
対処する技能を発達させずに 情報だけ得ると バランスが取れなくなるため、
家族の負担感やストレスが 深刻になることがあります。
弁証法的行動療法 〔*注〕 に基づいた 家族の心理教育的アプローチが開発され、
DBT-家族技能トレーニング (DBT-FST) と呼ばれます。
(参照: http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/63665164.html )
〔*注: DBT。
リネハンが開発した BPDの治療法で、 認知行動療法の技法を組み合わせている。
(認知行動療法は、 患者の思考, 感情, 行動に焦点を当てて、
問題を解決することを目指す。)
DBTは 感情をコントロールし、 衝動性を抑制し、
自己破壊的な行動を回避するための 具体的なスキルを教える。〕
DBT-FSTには
複数家族の集団療法と、 個々の家族の治療の 両方が行なわれます。
治療目標はふたつです。
(1) 患者が個人療法で学んだ行動を、 さらに強化する方法を 家族が学び、
個人療法の成果を高める
(2) 家族全員の家庭環境を向上させる
DBT-FSTでは、 BPDの特徴や起源の教育をし、
家族の理解と共感を促します。
プログラムの参加者は、 互いに相手の 感情や経験を認め (有効化し) 合って、
否定的な反応を減らし、 効果的なコミュニケーションを学びます。
BPDの患者に対しては、 自己学習療法があります。
専門家との相談と組み合わせて、 自己学習のテキストを用いて 進めます。
自分で本を読むより 効果があり、 治療を避ける人にとって 有用なことがあります。
〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より
(次の記事に続く)