「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

治療への家族の関与

2013年10月11日 22時22分21秒 | 「BPD最新ガイド」より
 
 治療に家族が関与することは、 患者にとっても家族にとっても 有益なものです。

〔*注: ここに紹介する治療は、 アメリカの一部で行なわれているものです。〕

 (1) 基本的に患者を援助しながら、

 家族の人間関係や 家族機能の改善も 目的としている治療法,

 (2) 家族の苦痛と負担を減らし、

 家族の相互の支援を 強化するための集団プログラムが、

 役に立ちます。

 治療法は 少なくともふたつに分類できます。

 家族心理教育と、 家族療法です。

 前者は、 病気の情報と対処技能を 提供するプログラムで、

 患者の機能を向上させ、 家族の負担を減らすことを 目指す治療です。

 後者は、 一般に 家族全員を対象とする治療で、

 家族内の対人関係と 相互作用を改善することを 目指します。

 家族心理教育のプログラムは、

 患者の個人療法 (精神療法や薬物療法) を 補うものです。

 家族の苦痛を軽減して、 家族の患者へのサポートを 強化することが期待されます。

 家族療法には、 個人療法を補ったり 強化するためのものもあり、

 成果を上げています。

○ 家族心理教育

 統合失調症の家族心理教育では、

 家族が 患者の障害について正確な情報と 支援システムを手にし、

 他の家族の成功と失敗から 学ぶことができたときに、 患者は最もよく回復しました。

 家族心理教育プログラムは、 専門家が複数家族を指導する 集団療法です。

 家庭内の機能不全に焦点を当てる 伝統的な家族療法とは異なり、

 家族の強さと 回復力を増すことが目指され、

 患者の問題を 家族のせいにすることは行なわれません。

 家族が 敵意や怒りなど 否定的な感情を強く表すと、

 患者は精神症状を再発しやすくなります。

 家族心理教育によって 感情を表すパターンを変えると、

 患者と家族に 非常に有益な結果がもたらされます。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より

(次の記事に続く)
 
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