治療に家族が関与することは、 患者にとっても家族にとっても 有益なものです。
〔*注: ここに紹介する治療は、 アメリカの一部で行なわれているものです。〕
(1) 基本的に患者を援助しながら、
家族の人間関係や 家族機能の改善も 目的としている治療法,
(2) 家族の苦痛と負担を減らし、
家族の相互の支援を 強化するための集団プログラムが、
役に立ちます。
治療法は 少なくともふたつに分類できます。
家族心理教育と、 家族療法です。
前者は、 病気の情報と対処技能を 提供するプログラムで、
患者の機能を向上させ、 家族の負担を減らすことを 目指す治療です。
後者は、 一般に 家族全員を対象とする治療で、
家族内の対人関係と 相互作用を改善することを 目指します。
家族心理教育のプログラムは、
患者の個人療法 (精神療法や薬物療法) を 補うものです。
家族の苦痛を軽減して、 家族の患者へのサポートを 強化することが期待されます。
家族療法には、 個人療法を補ったり 強化するためのものもあり、
成果を上げています。
○ 家族心理教育
統合失調症の家族心理教育では、
家族が 患者の障害について正確な情報と 支援システムを手にし、
他の家族の成功と失敗から 学ぶことができたときに、 患者は最もよく回復しました。
家族心理教育プログラムは、 専門家が複数家族を指導する 集団療法です。
家庭内の機能不全に焦点を当てる 伝統的な家族療法とは異なり、
家族の強さと 回復力を増すことが目指され、
患者の問題を 家族のせいにすることは行なわれません。
家族が 敵意や怒りなど 否定的な感情を強く表すと、
患者は精神症状を再発しやすくなります。
家族心理教育によって 感情を表すパターンを変えると、
患者と家族に 非常に有益な結果がもたらされます。
〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より
(次の記事に続く)