「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

家族のサポート体制を整える (3)

2013年10月08日 20時25分57秒 | 「BPD最新ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

○ DBT-家族技能トレーニングモデル

 患者の感情や経験の 意味を認める 「有効化」 は、

 相手をなだめることではなく、 耳を傾けて理解することです。

 多くの親は、 「もし私が この病気を引き起こしたのなら、

 私はそれを 一掃することができる」 という 不可思議な願望を持っています。

 しかし 家族にとって重要なのは、

 BPDは家族の責任ではなく、 家族にはBPDの状態を 治すことができない

 という現実を受け入れることです。

 「無効化」 は、 相手の見方を否認, 軽視することで、

 相手の苦しみを過小評価することが 最も有害です。

 相手が 別の見方をしていることを認め、

 その上で、 互いの一致している事柄を 探すのは難しくありません。

 無効化の環境が 病気を生み出すのではなく、

 自分の話を聞いてもらえなかったり、 理解されないことが、

 患者のパニックと怒りを 強めるのです。

 BPDの人は、 恐怖を呼び起こす 断片化された内的世界と闘っています。

 彼らの厄介な行動は、 安心感を得ようとする 試みでもあります。

 家族のサポート体制は、 型, 境界を与えることで、 世界の断片化に対抗します。

 家族は 自分たちの欲求を満たす 権利を尊重し、

 他の人の権利も尊重されるべきという 認識を患者に促します。

 それは 混沌とした内的世界の周りに、 安全な境界を引くことになります。

 家族がBPDについて学び、 家族同士で経験を共有し、 患者支援を行なうことで、

 自分たちだけでなく、 BPDの人たちや 他の家族たちの助けとなるのです。

○ 家族のサポート体制のまとめ

 BPDを発症しやすい 遺伝的傾向があるのが 明らかなのにも拘らず、

 専門家の間で 家族に障害の責任があるという 考えが消えません。

 それは 治療が失敗するだけでなく、 患者と家族を傷つけます。

 家族が病気を引き起こしたのではないのだから、

 家族はそれを治せないと 受け入れる必要があります。

 家族は、 BPDの人を拒否することなく、

 感情的な混乱に 巻き込まれないよう抵抗し、 関係を再構築することができます。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より
 
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