「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

個人としての境界を明らかにすること (3)

2013年02月01日 22時47分35秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

《 絡み合いではなく、 親密さを深めてくれる》

 結婚生活でも、 親密さの中にも それぞれの空間を 持つことが大切です。

 木々は近づきすぎると、 枝や根が絡み合ってしまいます。

 どちらの木も 成長する余地がなくなり、 部分的に枯れてしまいます。

 意識的なギブアンドテイクでなく、

 絡み合いは 人を喜ばせるために 自分の存在や要求を 否定することになります。

 それぞれの個性が 二人の関係の犠牲になった時、 絡み合いが生じます。

 恋に落ちるのは、 自分と同じ考えや感情を 相手が持っていると確認することです。

 しかし結局、 二人の感じ方は異なっています。

 それをどのように扱うかが 重要です。

 初めのうちは、 自分の一部を否定するほうが 孤独よりはましです。

 でも人を喜ばせるために 自分の一部を犠牲にするのは、 長続きしません。

 自分自身を相手と共有するには、

 自分の個性を認識し、 相手に対して 何かを表現できることが必要です。

 親密さを得るには、

 時間, 寛容さ, 人を判断せず, 傾聴し, 受容する態度が必要です。

○ ボーダーの人とノン・ボーダーラインの人の 境界線の問題

 境界を傷つけられたり、 境界を持てないまま 成長した人が沢山います。

 多くの場合、

 親が子供の 境界や権利を侵し、 不適切な役割を 子供に強いているのです。

 それは大人になって、 様々な問題を引き起こします。

・ 子供を依存的にしてしまうと、 大人になっても 誰かが必要だと信じるようになる

・ 親から見捨てられた子供は、 他人と感情的な交流を 持つのが困難になる

・ 支配的な親だと、 子供は 他人には何の権利もないと 思うようになる

・ 過保護な親だと、 アイデンティティを発達させるのが 困難になる

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕