「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「告知」 は 見通しを詳しく -- 認知症、 明日へ

2012年07月22日 20時52分54秒 | 介護帳
 
 認知症とどう向き合い、 今後 どう生きるかを考える上で 重要な 「告知」。

 しかし、 医師の言葉や態度に、 不満や不信を募らせる人も 少なくありません。

 「あれでは早期診断、 早期絶望です」

 認知症と診断された 男性 (58才) は憤ります。

 医師は問診後、 脳の画像を見ながら 唐突に切り出しました。

 「アルツハイマーですね」

 それ以上の 詳しい説明はありませんでした。

 男性は 頭が真っ白になりました。

 「自分はどうなるのか、 仕事はできるのか……」

 疑問や不安が 次々と浮かびました。

 64才の夫が アルツハイマー型認知症と告げられた 女性 (53才) も、

 医師に不信感を抱きました。

 家族の意向に構わず、 本人への告知を 急ごうとする医師に、

 その訳を訪ねたときです。

 「病院の決まりです。  どうせ告知しても忘れるけど」

 女性は  「あんな医師から 告知されたくない」 と、 別の病院を探しました。

 幸い その病院の医師は 違いました。

 「治らないが、 薬で進行を遅らせることはできる。

 どんな心配事でも 私に相談してください」

 女性は  「心のこもった言葉に、 元気も勇気も出た」 と語ります。

 告知を機に、 夫と将来について 話し合うことができました。

 「家族、 友人と 楽しく生きていきたい」

 「無駄な延命治療はせず、 自然のままいきたい」

 夫はパソコンに書いて 家族に伝えました。

 別の女性 (60才) は、 アルツハイマー型認知症と告げられ、

 「今ならまだ 新しいことができる。

 これまでとは違う 自分を生きよう」 と決心しました。

 手話を覚え、 認知症の人や家族の交流会で、 歌と共に披露するまでになりました。

 女性は、  「今は前向きに生きていきたい」 と 笑顔を見せます。

〔読売新聞より〕