「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

死刑判決の今後への影響

2010年11月19日 20時19分46秒 | 死刑制度と癒し
 
(前の記事からの続き)

 今回の裁判員裁判の死刑判決は、 今後の裁判に どのような影響を与えるでしょう?

 裁判員が 重い負担を覚悟してまで 死刑を選択したことで、

 死刑への国民の支持が 強くなるのではないかという、 法務省幹部もいます。

 一方、 裁判員が 法廷での被告の態度をくみ取り、

 裁判官に比べて 死刑を回避する可能性があるという、 元高裁判事の意見もあります。

 僕は この見方のほうに与します。

 プロが業務として 判決を出すのではなく、

 人間の素朴な 感情を感じ取って 反映させるのは重要なことです。

 裁判に関わる文献や 体験者の話を見聞きすると、

 人として考えられないくらい 無責任でいい加減な 裁判官の数々は、

 本当に 司法を信頼できなくなるほどです。

(死刑判決は そんなに杜撰ではないでしょうが。)

 それに比して、 裁判員の人たちの 真剣な姿勢と 冷静な判断には、

 予想を上回って 感服するばかりです。

 被告の内面の変化に 触れるなど、 裁判員が悩む姿が 伝わることで、

 国民も 自分の立場に引き寄せて、

 裁判や死刑について 深く考えるようになるでしょう。

 司法に国民が参加するという、 裁判員制度の第一の意義です。
 

 これまでの 年間の死刑判決数は、 80~90年代に 約20人未満でした。

 2003年以降、 被害者感情を重視する 世論など背景に、

 30~40人台に増え、 厳罰化傾向が見られました。

 世論の影響は間接的であり、 実際に国民自身が 直接死刑判決に関わると、

 やはり自ら 判断を下すことに 抵抗を感じるのではないでしょうか。

 表面的な感情や観念だけではなく、 自らの問題として 捉えて考えることが大切です。

 死刑の刑場が公表されたり、 法務省で 死刑存廃の勉強会ができたり、

 少しずつ 前に進んできていると思います。

 今後さらに 情報が発信され、 多くの人が詳しく知り、

 真摯に考えていきたいものです。

〔 参考文献 : 読売新聞 〕
 
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