「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

裁判員の心の負担 重く

2010年11月16日 22時47分19秒 | 死刑制度と癒し
 
 裁判員制度初の 死刑判決が出ました。

 一般人が自らの判断で 被告に極刑を下す、 精神的な重圧が危惧されています。

 裁判員制度が始まる前から それは議論され、 初めは 軽微な罪から関わることで、

 国民が裁判に慣れていってもらう という意見もありました。

 けれども、 国民的関心がある 重大事件を扱うことによって、

 死刑も含め 裁判を深く考えてもらう という立場が取られました。

 短期間の評議で 深刻な結論を出さなければならない 重責だけでなく、

 この先、 刑の確定や 執行の際にも、 裁判員の心は 揺れ動くことでしょう。

 残酷な犯罪を犯した 被告の生い立ちや 心の内、 更生の可能性など、

 裁判員には プロの裁判官以上に 情報が必要だという 意見があります。

 裁判中は 審議に夢中になっていますが、 その後 時間が経つと、

 あれで良かったのか考えてしまうという、 裁判員経験者の話もあります。

 死刑判決を出したことのある 裁判官は、

 「更生の可能性は 本当になかったか」 という思いが 時折わき起こったといいます。

 判決の10年後に 刑が執行されたことを知って、 冷静ではいられなかったそうです。

 プロの裁判官による 充分な合議の後でも、

 判決言い渡し後に 心が揺れることがあるということで、

 素人の裁判員なら なおさらのことではないでしょうか。

 他の裁判員経験者と 連絡を取ることもないし、 守秘義務もあるので、

 一人で悩み続けることも あるかもしれません。

 裁判員経験者には 24時間の電話相談窓口があり、 面談も受けられますが、

 裁判所は 相談が来るのを待っているだけでなく、

 積極的にサポートする アプローチも必要でしょう。

 死刑というものは、 判決を下す人にも これだけ重い負担を 課すほどの刑罰です。

 それを 国民全体が感じて、

 死刑制度の是非を 考えていく必要性が 迫られていると思います。

〔 参考文献 : 読売新聞 〕