「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

境界性パーソナリティ障害の 生物学的側面 (1)

2010年11月09日 21時48分18秒 | ボーダーに関して
 
 先日の 「BPD家族の会」 で、

 みすず書房 「境界性パーソナリティ障害 ― 疾患の全体像と精神療法の基礎知識」

(小羽俊士) の、 「境界性パーソナリティ障害の生物学的側面」 という

 一節が紹介されました。

 従来、 境界性パーソナリティ障害は 親の育て方の問題と 言われてきましたが、

 先天的な脳の問題が 先にあるということが、 次第にはっきりしてきています。

 その一節から 要約, 抜粋をしてみます。

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 近年、 いくつもの神経心理学的研究や 脳機能画像研究などによって、

 境界性パーソナリティ障害では、

 大脳皮質の 前頭前野の機能が 低い傾向にあることが示されている。

 大脳は、 より 「動物的な衝動や欲望」 をつかさどる  「辺縁系」と、

 より 「人間らしい、 思慮深さ」 によって コントロールしている

 「大脳皮質」 に分けられる。

 不安や、 それに伴う怒り, 攻撃性, 回避反応など、

 動物として生き残るのに 必要な機能は  「辺縁系」 の働きが中心となる。

 たとえば、 不安などの情動は 辺縁系の中の  「扁桃核」 の働きである。

 これに対して 大脳皮質、 特に、 大脳全体を統合する前頭前野は、

 「人間らしい、 思慮深さ」 によって、 扁桃核の反応をコントロールしている。

 この前頭前野の 機能が低いと、

 不安や攻撃性などの 情動のコントロールが悪くなるだけでなく、

 対人関係の中で 的確に、 計画的に、

 柔軟性と共感性を持って 行動していくことも困難になってしまう。

 「共感性」 は、

 自分の気持ちや 相手の気持ちを 的確にとらえることと 関連しているので、

 それが低ければ、 対人関係の中で 非常に強い孤独感や 見捨てられ感を感じる。

(次の記事に続く)
 
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