「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「フラット革命」 第二章 「よるべなく漂流する人たち」 (1)

2007年12月05日 22時26分08秒 | 心理
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/51529389.html からの続き)

 拙著を 佐々木氏に紹介してくれた 瑞穂さんは、この章に登場します。

 平凡な家庭に 生まれ育った彼女は しかし、

 両親の愛情には 恵まれていませんでした。

 母親は口やかましく、父親は酒好きで 不在の家庭だったようです。

 25才になるとき結婚し、二人の息子を もうけましたが、

 夫の借金のため 離婚に追い込まれることになりました。

 その間の騒動で 心は病み、逃避できる場所を求めて、

 出会い系サイトに はまるようになっていったそうです。

 メールを交わした男性に 好意を持つようになった彼女は、

 遊びではなく 純粋な恋愛を 切望していたのです。

 そして 枕を共にし、「愛してる」 という言葉を 聞いたときは、

 嘘でも嬉しかったといいます。

 瑞穂さんは 出会い系という虚構の世界に 何か本当の真心があると、

 ひたすら 信じようとしていました。

 しかし、その男性は 遠ざかって行ってしまいます。

 彼女は 二人の子供を抱え、精神状態はぼろぼろになり、職も失いました。

(のちに彼女は、ボーダーの診断を 受けることになります。)

 そんなとき 友人から勧められたのが、

 出会い系サイトの サクラのアルバイトでした。

 電話で 男性の相手をする仕事です。

 彼女はそこにも 純粋な出会いを求めていました。

 実際、何人かの男性と会って 体を重ねたこともあり、

 ひとときの幸福を 感じたといいます。

 しかし、どこにも 帰属感はありませんでした。

 本当に 身の置き所がないくらい、独りでいるのが辛かったと 彼女は言っています。

(それがボーダー故の 心情でしょう。)

 離婚したことで 糸が切れてしまった。

 その糸を どう取り戻せばいいのか? 

 出会い系が、彼女と社会を結ぶ 唯一の糸でした。

 彼女のこの苦しみ,願いは、「世界と どう繋がっていけばいいのか?」 という、

 人間の根源的な 問いかけです。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/51578986.html