岐路に立つ人に

「どうしたらいぃんですかぁ～。」
後輩は泣きそうな顔でうつむいた。
急に異動を言い渡された後輩に、私はずっと感じていたことを言った。

「えー…、私は○○さんの人生に責任持てないからなぁ。
でも今のままじゃ、ずっと周りに流されちゃうよ。自分がどうしたいか、どうするかは自分で決めなきゃ。
○○さんはただ安全な道をいきたい、傷つきたくないだけな様な気がする。」

「ううぅ～…でも、そうです。」

「私だって、同じだよ。この道が正しいのかなんて分からない。
でも私は今自分でここにいることを選んでいるから。」

…全くもって、私は偉そうなことを言える立場ではない。実際はそんなにスッパリ割りきれない。
でも、今は同情するより毅然とした態度で後輩の背中を押したかった。
今のままでは居られず、選択を迫られていたからだ。

相手に一歩踏み込んだことを言うのは、自分にもそれを許すことになるから慎重になる。

でも、私は本心を伝えるようにしている。相手が大切な人なら尚更。

「ちゃんと、考えます。」
言葉を噛みしめながらそう言う後輩が眩しく見えたのは気のせいじゃない。