金田一シリーズを一冊読みました。殺人鬼というタイトルの短編集4話です。百日紅の下にてという作品は、戦後翌年の焼け跡の東京市ヶ谷で、復員したばかりの金田一が死んだ戦友から託ってきたある殺人事件を、会話だけで真相を導いて解決するという話です。金田一は解決の後獄門島に向かいます(もう一人の亡き戦友の言伝を持って)。香水心中では軽井沢が舞台となり、今は信越線は横川と軽井沢の間で途絶えていますが、在来線があった時代は、熊ノ平という駅が途中にあってそこでの描写があります。この駅はアプト線の時代に、単線の交換駅としてありましたが、複線化されたときに廃止になった駅です。他に三越百貨店と思えるエビス百貨店の事件、世の中には思いのほか殺人者がいますという話でした。
「殺人鬼」横溝正史 角川e文庫