活字日記

毎日読んだ活字系(雑誌、本、新聞、冊子)を可能な限りレポートします。

【8月27日】

2006-08-27 | 文庫
 宇宙の戦士を読了。この小説は日本で発表された時賛否の意見が飛び交ったようです。1960年代後半ということでそれはベトナム戦争華やかなときであり、一方太平洋戦争からの想い出も充満している時でアメリカという国が世界に覇権を押し広めようとしていた時代です。作者のハインラインは非行青少年が跋扈する都市を嘆いて、軍隊経験者でなければ市民権を与えてはいけないとか、懲罰に鞭打ち刑を科したりすることをこの小説で主張しています。
 それから35年が経った現代においてもアメリカの世界覇権の野望というのは変わっていませんし、戦争が避けなければ行けないという世界市民における大前提は変わっていないものの、テロや暴力に対しては確固たる意志(それが暴力を伴うものでも)で向かっていくべきであるという意見が日本でも少数意見ではなくなっているということもあります。そういう背景でこの小説を読んでも当時なんでそんなに白熱した論議が起きたのかと思ったりする冷めた気持ちになります。もう古典化しているのですね。

「宇宙の戦士」ハインライン ハヤカワ文庫
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