平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

花燃ゆ 第46回「未来への絆」~真心→絆→未来、という方程式

2015年11月16日 | 大河ドラマ・時代劇
 この作品の言いたいことは、こういうことらしい。
 楫取素彦(大沢たかお)の次のせりふだ。

「互いを思い、真心を尽くして事に当たれば、そこには人と人との絆が生まれる。
 その絆こそ一人一人の未来をつくるんです。
 新しい道を切り開いて下さい。
 それぞれに未来はあるんです」

 真心→絆→未来・新しい道

 まあ、ドラマだから、この主張は良しとしよう。
 現実には、真心だけでは人は動かなくて、お金とかで動くことが多いし、絆なんてのも築くのはすごく難しい。
 実際、社会の上層部で、お金で物事を動かしている人には、なに甘いことを言ってるんだ? と鼻で笑われそう。
 でも、まあ、これはドラマ。
 ドラマは理想を語るもの。

 真心→絆→未来・新しい道

 これは、別に『花燃ゆ』に限ったテーマではない。
 TBSの『天皇の料理番』や『下町ロケット』なんかでも語られている。
 『天皇の料理番』では、まさに〝真心〟という言葉が、主人公の料理人の信条として語られていたし、『下町ロケット』では、技術者の情熱・プライドが〝真心〟にあたる。
 そして、『天皇の料理番』では、主人公の料理に込める真心が周囲の料理人やお上(天皇)との絆をつくり、『下町ロケット』では、主人公の情熱・プライドが社員を動かし、帝国重工の財前を動かし、彼らとの絆をつくった。

 では、同じテーマを扱っているのに、なぜ『天皇の料理番』や『下町ロケット』が面白くて、『花燃ゆ』がつまらないのか?
 要は主人公だと思う。
 『天皇の料理番』の主人公・篤蔵には、類い稀な料理の腕がある。
 『下町ロケット』の主人公・佃航平には、彼を支える社員たちと会社の技術力がある。
 一方、美和(井上真央)は?
 畑仕事や握り飯をつくること以外、何も卓越した能力がないから、何度も足を運び、頭を下げることくらいしか出来ない。
 追い込まれて、正論を言って、周囲が何となく納得してしまうというドラマ展開しか出来なくなる。

 主人公として、美和は弱いんですよね。
 本当にどこにでもいる普通の女性。
 こんな美和に、とんでもなく美味しい握り飯をつくれるとか、農業のことにやたら詳しいなどの能力がプラスされていたら、ドラマはだいぶ違ったものになってしただろう。
 朝ドラの『あさが来た』でも、荒くれ者の炭坑夫の説得というミッションがあったが、主人公の〝相撲が強い〟という能力が解決に一役買っていた。
 
 美和は現実に対して何の解決能力をもたない主人公だ。
 宿屋でふたりきりの不倫疑惑にも噂が消え去るのを待つばかりだったし、久米次郎(大西統眞)のことも解決できていない。
 こんな美和に「新しい日本をつくる。新しい日本人を育てる」と言われても、まったく説得力がない。

 最後にもうひとつツッコミ。
 西南戦争の国事犯に居場所と技術を与えて更生させるのはいいとして、仲買人はどうなったのか?
 放火の犯人は仲買人だったわけだし、今回、主人公たちが戦って解決すべきは仲買人だと思うのだが、どうだろう?

コメント (2)
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