平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

JOKER ジョーカー 製作者のセンスを疑う

2010年07月14日 | 推理・サスペンスドラマ
 堺雅人さんの魅力って、穏やかな表情が変わる時。いつも笑っている目が真剣な目に変わる時。
 この点でまさに堺さん主演で<あて書き>した様な作品。
 しかし内容はひどい。役者さんはいいんですけどね。映像も凝っていて好き。
 でも……。

 子供が殺されるシーンを何であんなに執拗に描かなくてはならないのか!?

 この製作者のセンスを疑う。
 海外だったら絶対放送禁止、抗議の電話が殺到する。
 もちろん海外ドラマや外国映画にも残酷シーンが多く登場する。しかし絶対に子供が殺されるシーンは描かない。
 別に道徳家ぶるつもりはないし、エンタテインメントは何を描いてもいいと思うが、<泣き叫ぶ子供><小便を流す子供>を面白がる犯人を描くというのは一線を越えている。センスを疑う。
 犯人を徹底的な悪にしたいのだろうが、こんな表現をしなくても視聴者に伝わる手法はいくらでもあるはずだ。
 このシーンを描いたのは脚本家だと思うが、プロデューサーはこんな表現が出て来たら即刻却下すべきだ。あるいはプロデューサーが要求してきたのなら、脚本家は拒否すべきだ。

 その他にもセンスは悪い。
 検察の父親の命令で不起訴?
 あれだけ証拠が揃っていて? おまけに証拠品を送りつけて盗聴までしているのに?
 視聴者は同じ様なケースを刑事ドラマで何度も見てきているが、「相棒」だったらもっと大人の対応をする。いくら検察の力が強大でも、権力には警察庁もあれば政治家も弁護士、マスコミもあることを視聴者は知っている。
 視聴者の目は肥えているのに、10年前の刑事ドラマと同じことをしている。
 「相棒」を見ている視聴者には子供だましにしか思えない。

 まあ、製作側は現代の<必殺仕事人>をやりたいのだろうが、仕事人には<江戸時代>というフィルターがある。それで物語はどこか遠い世界の出来事、ファンタジーになるし、江戸時代には、警察庁も弁護士もマスコミもないから仕事人が恨みを晴らすというのもリアリティが出て来る。
 また殺しのシーンには<様式美>がある。
 そして何より必殺でも<子供を殺すシーン>は入れない。

 その他にもダサイシーンはある。
 殺された子供の絵。子供の字で「いつまでもいっしょにいようね」だって。
 お涙頂戴の意図が見え見えだ。
 そんなことをわざわざ書かなくても絵一枚で、この親子の関係は伝わる。
 浮気の盗撮ビデオが偶然、犯行を映していたというのも安易。
 刑事は全然頭を使っていない。
 物語を早く展開させるためのご都合主義。

 繰り返しになるが、この作品、役者さんと映像はいいんですけどね、製作者の根本が最悪。
 「泣かないと決めた日」の実績で衝撃シーンを入れれば視聴率が獲れると思っているのか?
 脚本としてキャラクターの描き方、描き分けは上手いと思うが、物を表現しようとする人間には美学とセンスが必要。
 この内容を許容する脚本家と製作者には完全にそれらがない。

※追記
 このドラマの情況で他のドラマの主人公だったらどうするか?
 「相棒」の右京さんだったら、罠を張ってどんな圧力があっても犯人を逮捕する。厳しい口調で犯人を叱る。
 「必殺」の仕事人達だったら、犯人の父親も始末する。
 「臨場」の倉石だったら、平山浩行さん演じている刑事に「根こそぎ拾えてねえ」と怒り出す。

※追記
 その他にも捜査上の疑問。
 送りつけられた証拠品の靴に盗聴器。普通、この時点で警察は再捜査に入るはず。
 最後でホームレスを撃とうとした時に現行犯逮捕できるのでは?
 あるいは本物の拳銃を持っていたのだから銃刀法違反で引っ張れる。


コメント (4)
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