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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ゲゲゲの女房 来るべき時が来た

2010年07月17日 | ホームドラマ
 急展開の1週間。
 少年ランド別冊の「テレビくん」掲載から、本誌「鬼太郎」連載、漫画賞受賞まで。
 不遇の時代を溜めに溜めて描いて一気に爆発させるカタルシスの瞬間。

 この成功をどう見せるかは作家の腕の見せ所。
 授賞式で深沢(村上弘明)や戌井(梶原善)を登場させたり、喜ぶ源兵衛(大杉漣)たち両親を描くのもいいが、僕は<貧乏神が小さくなって退散する所><茂が質草を取り戻す所>を評価したい。
 特に質草のシーンは秀逸。
 茂(向井理)がひさしぶりに質屋を訪れて、質屋の主人はテレビを質に入れに来たのだろうと思う。ところが、茂がドーン!と出したのは質草の預かり券。布美枝(松下奈緒)の着物も戻ってきて万々歳!
 授賞式や両親の歓びで成功を表現することは誰でも思いつくが、質屋でそれを表現するのはなかなか思いつかない。これが作家の力である。
 また布美枝の着物という伏線もしっかり張られているから、この請け出しのシーンが盛り上がる。
 上手い!

 その他にはこんな所が面白い。
・「テレビくん」のための資料を集めるために雑誌をかき集める布美枝。
 喫茶店では「今度はコーヒーを飲みに来てよ」と言われて、<むぎ茶>をふるまわれる。
 質屋では雑誌を積んだ自転車が倒れて、雑誌を入れる<段ボール>をもらう。
 この<むぎ茶>と<段ボール>をもらえる所が気が利いている。
 通常なら喫茶店で雑誌をもらい、質屋で倒れた自転車を助け起こされて終わりだ。
 <むぎ茶>と<段ボール>を書き加えられるかがプロの作家と素人の差。
・茂の家に電話が入り、布美枝が掛かってくるのを待って正座しているのも時代を感じさせて微笑ましい。
 また電話のけたたましいベルに藍子が耳をふさぐ芝居もしっかり書き加えられている。
 この藍子を書けるかどうかもプロと素人の差。
・実写とアニメ映像が融合しているのも、この作品の特徴だが、今回はまさにテレビくんが実写のテレビCMの中に。
 こういう今まで見たことのない映像を見せてくれるのは楽しい。

 最後はためになるお言葉。
 編集長の豊川(眞島秀和)いわく。
 「同じことをやっていても現状は打破できない」
 今までの前例、常識にとらわれていては新しい画期的なものは生まれないんですね。
 そして画期的なものを生み出すには次の様な姿勢が必要。
 「数が少なくても熱烈なファンがいればブレイクする」
 アニメ作品ですが「宇宙戦艦ヤマト」や「ガンダム」は低視聴率作品だった。だが熱烈なファンがいたから大ブレイクした。
 市場調査に基づいて作られた作品は安全だが、そこそこのヒットしかしない。
 新しくて作家の怨念の様なものが詰まっている作品こそ大ヒットする。
 編集者さん、プロデューサーさん、この点をお忘れなく。


コメント
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