平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ゲゲゲの女房 生きている人間には同情せんのです

2010年07月03日 | ホームドラマ
 今週は茂(向井理)のせりふをふたつ。

★「好きなことをやっているから貧乏でも仕方がないのです」
 なかなか深い。
 <何かを得れば何かを失う>のが人生の真理。
 茂は<好きなこと>をやっていることの引き替えに<人並みな生活>を捨てている。
 <人並みな生活>を送りたいのなら、会社勤めをすればいい。
 <好きなこと>をやって<人並み>あるいは<人並み以上の生活>を送りたいと思うのが、人の欲だが、そんなことが出来るのはごくわずかな人達。
 両方を求めるから苦しくなる。他人と比較するから苦しくなる。
 茂の達観は生きていく上での智恵。

 もっとも現在は<好きなこと>を見つけるのが、選択肢が多すぎて見つけにくい、ある意味ぜいたくな時代だし、会社勤めが<人並みな生活>を保証しなくなった時代。
 労働の喜びもなく、人並みな生活も送れない時代って……。
 茂達の時代より現在はより複雑、困難になっている。

★「生きている人間には同情せんのです」
 自らの意思ではなく死んでいかざるを得なかった戦友たち。
 茂にしてみれば、自分が生きていることの意味は重いものだろう。
 生きていることだけでも価値がある。
 ならば、なぜ価値のある生を謳歌しようとしないのか? 前向きに生きていこうとしないのか?
 不平不満で悶々としている時間は人生のムダ。
 そんな思いが込められている様な気がする。

 もちろん、茂は体の傷で、こみち書房の政志(光石研)は心の傷で、政志の方が負った傷は深いのかもしれない。
 でも、同情はしない。
 心の傷など相対的なもので、政志よりも深い傷を負っている者が力強く生きている場合もある。
 そして何より死んでしまった者よりマシなのだ。

 今回は茂の芯にあるものを見せてもらった。
 茂はこんなことを考えながら生きてきたのだ。


コメント (2)
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