★自分の父親、母親のことを「忠剛殿」「お幸殿」としか呼べないつらさ。
自分の娘のことを「篤姫様」「姫様」としか呼べない哀しさ。
これだけで人物の葛藤を描き切る。見事な作劇だ。
篤姫(宮崎あおい)と忠剛(長塚京三)たちの間にある距離。
距離にしてわずかだが、彼らは歩み寄り抱き合うことができないのだ。
見事なカセだ。
おまけにこの対面のドラマが演じられているのは、ひとつの部屋。
アクションもなく映像としては『静』。
しかし描かれているドラマは嵐のような『動』。
前ふりはある。
宴のための着物を選ぶ篤姫。
母の好きな色・柄の打ち掛けを着たいと言う。
この日常のさりげないやりとりでせつない気持ちを表現する。
こうした葛藤、緊張感の中でドラマは一気に転じる。
斉彬(高橋英樹)の計らいで親子だけの対面。
「父上様」「母上様」
「於一」
今まで息を詰めていた視聴者は一気に息をはき出す。
緊張が解ける瞬間だ。
張りつめていたものが解けて思わず涙も出て来る。
その後のやりとり(「元気そうで」「美しくなった」「元気でいてくれればそれでいい」)も感動的だが、何と言っても 「父上様」「母上様」「於一」と名乗り合う所が最大のドラマポイント。
視聴者は主人公たちにこのひと言を言ってほしくてやきもきしている。息を詰めている。
緊張から解放へ。
これがドラマの呼吸だ。
★囲碁の駒
置かれる場所によって様々な役割を演じる囲碁の駒。
なるほど!
将棋は敵の陣地に入ると「金」になるという変化はあるが、役割・強さは決まっている。
それは人物に関しても同じ。
篤姫自身も斉彬(高橋英樹)の養女になることで役割が変わった。
西郷(小澤征悦)らも場を与えられることで大きな役割を果たすことになる。
囲碁を語りながら人間論を語っている。
この作品、こうした直喩、隠喩の宝庫だ。
またこれを今和泉の家族だけの対面の場に置いてみると面白い。
父・母は重要な駒。次女のしのは中ぐらい。
一方、兄・忠敬(岡田義徳)は於一の会話に出て来ない。いわばギャグメーカー。
重い駒、軽い駒があるからシーンがイキイキしてくるのだ。
これがみんな同じ比重だったら、感動も薄くなる。
また中間にしのがいるから、兄のオチが利いてくる。
★篤姫と幾島
このふたりには尚五郎(瑛太)たちとは違った信頼がある。
「幾島、私はそちが嫌いじゃ」
「承知してございまする」
「薩摩を思うて泣くのはこれが最後じゃ」
「しかと承りましてございまする」
こういうやりとりができる人間関係はなかなかない。
篤姫にとって幾島(松坂慶子)は自分の本音をぶつけられる相手。
幾島にはそれを受けとめられる度量が。
面白い人間関係だ。今後さらに分析していきたい。
自分の娘のことを「篤姫様」「姫様」としか呼べない哀しさ。
これだけで人物の葛藤を描き切る。見事な作劇だ。
篤姫(宮崎あおい)と忠剛(長塚京三)たちの間にある距離。
距離にしてわずかだが、彼らは歩み寄り抱き合うことができないのだ。
見事なカセだ。
おまけにこの対面のドラマが演じられているのは、ひとつの部屋。
アクションもなく映像としては『静』。
しかし描かれているドラマは嵐のような『動』。
前ふりはある。
宴のための着物を選ぶ篤姫。
母の好きな色・柄の打ち掛けを着たいと言う。
この日常のさりげないやりとりでせつない気持ちを表現する。
こうした葛藤、緊張感の中でドラマは一気に転じる。
斉彬(高橋英樹)の計らいで親子だけの対面。
「父上様」「母上様」
「於一」
今まで息を詰めていた視聴者は一気に息をはき出す。
緊張が解ける瞬間だ。
張りつめていたものが解けて思わず涙も出て来る。
その後のやりとり(「元気そうで」「美しくなった」「元気でいてくれればそれでいい」)も感動的だが、何と言っても 「父上様」「母上様」「於一」と名乗り合う所が最大のドラマポイント。
視聴者は主人公たちにこのひと言を言ってほしくてやきもきしている。息を詰めている。
緊張から解放へ。
これがドラマの呼吸だ。
★囲碁の駒
置かれる場所によって様々な役割を演じる囲碁の駒。
なるほど!
将棋は敵の陣地に入ると「金」になるという変化はあるが、役割・強さは決まっている。
それは人物に関しても同じ。
篤姫自身も斉彬(高橋英樹)の養女になることで役割が変わった。
西郷(小澤征悦)らも場を与えられることで大きな役割を果たすことになる。
囲碁を語りながら人間論を語っている。
この作品、こうした直喩、隠喩の宝庫だ。
またこれを今和泉の家族だけの対面の場に置いてみると面白い。
父・母は重要な駒。次女のしのは中ぐらい。
一方、兄・忠敬(岡田義徳)は於一の会話に出て来ない。いわばギャグメーカー。
重い駒、軽い駒があるからシーンがイキイキしてくるのだ。
これがみんな同じ比重だったら、感動も薄くなる。
また中間にしのがいるから、兄のオチが利いてくる。
★篤姫と幾島
このふたりには尚五郎(瑛太)たちとは違った信頼がある。
「幾島、私はそちが嫌いじゃ」
「承知してございまする」
「薩摩を思うて泣くのはこれが最後じゃ」
「しかと承りましてございまする」
こういうやりとりができる人間関係はなかなかない。
篤姫にとって幾島(松坂慶子)は自分の本音をぶつけられる相手。
幾島にはそれを受けとめられる度量が。
面白い人間関係だ。今後さらに分析していきたい。