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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

LOST 第3話・4話・5話

2007年01月26日 | テレビドラマ(海外)
 第3話はケイトの話。
 手錠をはめられ、連行されていたのはケイトだった。
 落下事故で怪我をし意識を失っていた刑事はジャックに言う。
「あいつは危険な女だ。騙されて手玉に取られるな」
 今まで描かれていた正義感の強い勇気ある女性とは正反対のケイト像。
 見事に視聴者を裏切って面白くしている。
 そして作者は回想の中でケイトの過去を語る。
 逃亡していたケイト。
 ある牧場にたどり着き、牧場主の好意で生活させてもらうことになるが、ケイトに賞金が掛けられていることを知った牧場主は彼女を警察に売ってしまう。牧場主には借金があったのだ。ケイトの賞金があれば借金を返せる。
 車でケイトを連れて行こうとする牧場主。そこに警察の車が来て、ケイトはハンドルを奪ってカーチェイス!
 結局、車は横転し、牧場主は死んでしまう。
 これがケイトが捕まるまでの顛末。
 世話になった牧場主を結果として殺してしまったケイト。
 そのことに刑事は「ケイトは危険な女だ」と言うのだが、後にケイトからこんな質問をされる。
「死んだ牧場主の家族は私の賞金を受け取ったのか?」
 彼女は自分を売った牧場主を恨んでいなかった。むしろ死なせてしまったことを気にしていた。
 これでケイトの人間性が描かれる。

 ラストは上質の短編小説の様。
 自分の過去を知ってしまったジャックにケイトはどう対していいかわからない。
 自分のことを軽蔑し、嫌ってしまったのではないかと思う。
 そんなケイトに対しジャックは言う。
「3日前に俺たちは全員死んだ。そこから始めればいい」
 過去を捨てて生きようとジャック。
 見れば、他の遭難者たちにも新しい関係ができている。
 イラク人だからという理由で憎んでいたサイードにソーヤが飲み物を渡す。
 ロックは少年ウォルトの捜している犬を掴まえ、父親に渡す。
「犬は父親のおまえが見つけたと言ってウォルトに渡すのがいいだろう」
 父親とウォルトの親子がうまくいっていないのを知って、ロックが気をつかったのだ。
 遭難して3日。
 新たに築かれ始めた人間関係。
 それを「3日前に俺たちは全員死んだ。そこから始めればいい」という言葉と絡ませて見事に描いた。
 あざやかな短編小説の様な作劇だった。

 第4話・5話も登場人物ひとりひとりにスポットを当てた話だった。

 第4話はロックの話。
 食べ物であるイノシシを掴まえたロックは、その名のとおり逞しい男。
 サバイバルにも通じている。
 しかし、それは知識だけのもので。
 実は彼は車椅子で生活していた男だった。
 ところが島に来て足が立つようになって。
 このエピソードで島の「不思議な力」「謎」を視聴者に提示した。

 第5話はジャックの話。
 みんなのリーダーであるジャックも実は弱い男だった。
 人の苦しみに感じやすい男であるジャックはリーダーになれないと思っている。
 リーダー、指導者であれば、時には非情な判断をしなくてはならない。
 例えばみんなが生き延びるためには、ひとりの犠牲は仕方がないと考えられる様な。
 自分にはそれが出来ないと考えるジャック。
 作者は今まですべての人に献身的に尽くしてきたジャックの行動の理由をさらに掘り下げた。
 彼は感じやすいから、すべての人を救おうとするのだ。やさしくするのだ。
 それが彼の弱さであり、他人の目にはたくましく強く見える行動の原動力であった。
 この人間観が素晴らしい。
 
 さて、この様に主要人物の過去と心の中を描いていった「LOST」。
 そろそろ新しい展開がほしい所だが、次回以降何を見せてくれるのだろう。

コメント
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