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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

呪怨

2007年01月05日 | 洋画
 怖さというのは何であろう。
 確かに自分の生命を脅かすモンスターや謎の生物も怖いけれど、何より怖いのは人の「恨み」の気持ちであろう。
 今、海外ではジャパニーズホラーとして日本のホラー映画が注目されリメイクされている(この作品もそう)らしいが、それはジャパニーズホラーが、人間の怖さを描いているからである。

 さて、この「呪怨」。
 基本設定は、「人が恨みを残して死ぬとその場所に恨みが残る。その恨みはいったん取り憑くとその人間を殺すまで離れない」というもの。
 その恨みが存在する日本のある一軒家に来た者は怨念にとらわれ、人とは思えない血まみれの女性と子供、黒猫を目撃して、次々と殺されていく。

 そしてその家の怨念のもととなった事件は次のようなものだ。(以下ネタバレです)

「3年前、ピーターという外国人を好きになった妻が嫉妬に狂った父親に殺される。怒りにとらわれた父親は妻だけでなく、息子や飼っていた黒猫も惨殺」

 この妻と子供、黒猫の怨念がこの家に住みついて人を襲うというわけだ。
 実に怖い。
 その怖さは血まみれの妻と子供、黒猫によって描かれるが、彼らが怖いのは彼らが人を襲うからだけではない。「怨念」を背負っているからだ。
 だが、その他にも怖い物がある。
 妻の顔だけが切り抜かれた家族写真。
 ピーター、ピーター、ピーターと赤い文字で書かれたノート。
 これらは妻や子供、黒猫と同じようにいずれも「怨念」を具現しているものだ。
 家族写真を切り抜いたのは嫉妬に狂った夫。
 ノートを書いたのはピーターに恋した妻。
 いずれも人間の怨念が込められているから怖い。
 この作品が優れているのは、こうした物も恐怖の対象として描いている所だ。

 そして家。
 舞台は日本のどこにでもある古い木造の一軒家だが、これが怖い。
 押入があり、天井裏があり、軋む木の音がする。
 ハリウッド版はこの家に外国人が住むという物語だから、これを見る外国人には日本の木造家屋が恐怖の館に見えただろう。
 日本人の目から見ても、古い木造の一軒家の怖さを改めて実感させられる。
 面白い舞台装置だ。
 ここに目をつけた所に製作者のホラーセンスを感じる。
 そして、それは思わぬプラスアルファを生んだ。
 お風呂は日本流の深いものでそこには黒い汚れた水がたまっている。
 子供が監禁されていた押入の戸はガムテープで留められている。
 「黒い水」はもちろん怖いが、「ガムテープ」も怖い。
 物語の構造は「リング」「着信アリ」から連なるものだが(床を這う黒髪の女性はまさに「リング」)、こういった絵を見せられるのは新鮮だ。 


★追記
 床に食べ散らかしたお菓子も怖い。
 やって来た者は、最初ここの住人である寝たきりの外国人老婆がしたことと思うが、徐々に別の存在がしたことではないかと思うようになる。
 怖さには予兆が必要なのだ。


コメント
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