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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

のぞき屋

2007年01月18日 | コミック・アニメ・特撮
 次々と問題作を発表し続ける山本英夫。
 「のぞき屋」もその山本英夫の作品。

 「のぞき屋」は探偵。
 人の隠された心の裏を探る。
 主人公の見(ケン)は、探偵業よりこの人の心をのぞくことに情熱を傾けている。

 まずのぞいたのは女子高生のレイカ。
 父親の娘の素行を調べてほしいという依頼により調査を始めたのだが、驚くべき素顔が。
 援交の斡旋をやっている。
 友人に援交を斡旋し、わずかな手数料をもらう。
 しかしそれはお金が目的ではないらしい。
 レイカは援交が行われるホテルに盗聴器を仕掛けている。
 彼女は男と女のことを盗聴して、そこで繰り広げられる人間の愚かさを楽しんでいるのだ。
 そこに主人公の見は惹かれる。
 見が「のぞき屋」をやっている理由も「人間の愚かさ」を見てみたいからだ。
 見にはこんな考え方がある。
 「今の人間はうわべだけ繕って、仮面を被って生きている」
 よき家庭人、よき社会人、よき生徒。
 でも、それは嘘だろうと思っている。
 心の奥底にはもっとドロドロした欲望を隠しているだろうと。
 それを見は見てみたいのだ。

 アンチ・ヒーローである。
 今まで「正義の味方」の言ってきたことは、みんな嘘だと見は思っている。
 しかし、それだけだとドラマ性・エンタテインメント性に欠けると思ったのか、作者は面白い仕掛けを加えた。

 先程のレイカの時はこうだ。
 レイカの素行調査を依頼した父親。
 実はとんでもない変質者だった。
 娘のレイカを愛しているがそれは父親としてではなく男として。
 娘のスカートの中をのぞき、身体に触れてくる。
 レイカは「理想の家族」を演じることがトラウマになっていて、それが分かっていても拒絶出来ない。
 父親はレイカをスキーに誘い、夜、別荘で娘の身体を奪おうとする。
 そこに見が助けに来るというわけだ。

 通常のドラマなら、対象となる人物(今回はレイカ)の心の中を覗いて終わりになる所を父親のことを入れて、よりエロチックでサスペンス溢れるドラマにした。
 もうひとり心の闇を持つ人物を登場させることによって、ドラマをさらに盛り上げた。
 この作劇手法は以後のエピソードでも続き、例えば第2話のエレベーターガールのエピソードでは、自分の美貌を使い6人の男と遊ぶエレベーターガール美咲の心の闇を描きつつ、部屋中にゴキブリを飼っているストーカー男を絡ませた。
 通常なら美咲のエピソードとゴキブリ男のエピソードは別の話にしてもよかったのだが、いっしょにすることでさらに面白くなった。
 ドラマ+ドラマ。
 参考にしたい作劇手法である。

コメント
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