桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2013・5・10

2013年05月11日 | Weblog
広尾時代最初は新入社員として会社の先輩たちと一緒だったけど、しばらくして単独デビューするようになって、店が乃木坂に移ってからも、会社が移転してからも、先輩たちはもう姿を見せなくなってしまったが、彼女だけは年に二三回だったけど、もう12、3年も通い続けてくれているNさんが友人のKさんと店に入ってきた途端、どちらかと云うと地味で暗い印象を与えていた彼女の顔が一瞬別人かと思うほど明るく、輝いていて、そしてフェロモンみたいなものを漂わせていたもんだから「あれ?ひょっとして?」と問いかけたら「はい、今日は結婚の報告にきました」と本当に幸せそうな笑顔を向ける。去年の秋に知り合った男性と今年の二月にスピード結婚したとの由。俺としては素直に「おめでとう」と云う言葉が出て来る。単に飲み屋のマスターとして時々相談相手になってきただけの関係だったけど、23歳から36歳までのひとりの女性の人生を見てきた者として本当によかったと思えて来たのだ。でも、それとは反対に一抹の寂しさも感じてしまう。別に彼女は結婚したからって遠くに行ってしまった訳ではない。でも、今の俺が幸せとは縁遠い処に現住所を移していることもあるのか、国籍すら違ってしまった錯覚に陥ってしまって、ちょっと今夜は飲みたい気分。でも、12時過ぎにはみんな引き揚げてしまったので、すごすごと乃木坂から引き揚げる。だからと言って五反田にも一緒に飲んでくれる女性はいない。、