今日は「かっこうワルツ」の公演が3時と7時半の二回あるので、お昼前に店へ。いつもならスタッフのO君に料理の準備をして貰うのだけど、彼は土曜日も文学座の授業があるので俺がやることになる。昨日もそうだったけど、開演時間5分前まで料理を作ってからジャケットを来て満員のスペースへ行き、料理人から演出家の顔になって前説をやる。今回の芝居は微妙な音が聞こえるか聞こえないかってことが大切な要素になっているので演出家として観客の皆さんに携帯の電源を切って下さる様にお願いする。開幕すると今度は演出家から一観客の顔になる。もう始まってしまえば演出家の出番はない。一観客として芝居を楽しめた方がいい。そして、こんなことを俺が言うのは図々しいのだけど「楽しめた」のだ。自分の書いた台本を自分で演出した芝居を本当に面白く見ることが出来たのだ。こんなこと、初めてのことだ。原因は岡さんだ。岡まゆみさんの演技が凄いのだ。こんな上手い人がいたなんて、こんな上手い人が俺の台本を演じてくれたなんて、作家冥利に尽きる。そんなことを昼間見に来てくれた女性脚本家のTさん、Oさん、Hさん、劇作家のTさん、夜見に来てくれたTテレビのプロデューサーOさん、美人OLのJ子ちゃん、N証券のFさんとAちゃん、人妻Iちゃんなどと話す。みんな同じ意見だ。プロの作家を廃業し、偉大なるアマチュア作家を目指してやってきた俺の作家人生が63で花開きつつあるのか?