ルイガノ旅日記

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ロシア 美術館めぐり③ ~ エルミタージュ美術館(その2)

2019年03月19日 | 海外旅行
エルミタージュ美術館の記事を続けます。今回は引き続き本館(冬宮、小エルミタージュ、旧エルミタージュ、エルミタージュ劇場および新エルミタージュ)の絵画です。

エカテリーナ2世の肖像画(光の反射や映り込みを抑えるため、斜めから撮った写真が多くなりました)。
ドイツの貴族出身であったエカテリーナは、ロシア国民の信望に欠ける夫のピョートル3世をクーデターにより排し自ら皇位につきます。その後、ロシアの強大化・領域拡大や文化の発展に努め、ロシア史上最長の34年にわたって知的で意志の強い啓蒙君主として君臨しました。


広い「レオナルド・ダ・ヴィンチの部屋」に、絵画としては『ブノアの聖母』と『リッタの聖母』の2枚だけが展示されています。こちらは1478年に描かれた、ダ・ヴィンチ初期の作品、『ブノアの聖母』。


1490年から1491年にかけて製作した『リッタの聖母』。エルミタージュ美術館がこれらの作品を収蔵したのは意外に新しく、『リッタの聖母』が1865年、『ブノアの聖母』は1914年です。


こちらは「ラファエロの回廊」と呼ばれ、ヴァチカン宮殿のラファエロのフレスコ画を複製し、回廊を再現したもの。本家ヴァチカンの原画はすでに一部失われてしまったため、今となっては大変貴重な存在です。


こんな美しいフレスコ画が延々と続きます。様々に意匠を凝らした豪華な部屋やホールが連なるエルミタージュの中でも、この回廊は独特の雰囲気があります。


大きなタペストリーが飾られた「ラファエロの間(マジョリカの間)」には、高価なイタリア製のマジョリカ焼きの皿や壷などが多数展示してありました。


ラファエロがイタリアのペルージャで修行していたころ描いた『コネスタビレの聖母』


こちらはフィレンツェに拠点を移してからの作品、『聖家族』。エルミタージュは、かつてラファエロの作品を5点収蔵していましたが、スターリンによって3枚が売却され、今残っているのはこの2枚だそうです。


広い美術館を移動して、次は「イタリア美術の間」へ。館内の展示室をすべて歩くと、総距離は20kmとも25kmとも言われるエルミタージュ。効率よく歩くのも大変です (^-^)ゞ


イタリア美術は「小イタリア天窓の間」と「大イタリア天窓の間」の二間続き。天井に設けられた大きな天窓のおかげで、自然でやわらかい光が注いでいました。


孔雀石やラピラズリの壷やテーブルがあまりに豪華なため注目されませんが、その脚の装飾もまた見事です。


「古代絵画史の画廊」には、18世紀のイタリアの彫刻家、カノーヴァの作品が多く展示されていました。


カノーヴァ 『キューピットとプシュケ』


続いて「スペイン美術の間」へ。フランシス・ゴヤ『アントニア・サラテの肖像』


フランチェスコ・スルバラン 『聖母マリアの幼年時代』


エル・グレコ 『使徒ペテロとパウロ』


こちらはオランダ絵画、「レンブラントの部屋」。エルミタージュは、レンブラントの作品を24点所蔵しており、これはアムステルダム国立美術館にも匹敵する規模です。
レンブラント・ファン・レイン 『天子のいる聖家族』。幼いキリストを慈愛のまなざしで見守る聖母マリア夫婦が、舞い降りるかのような天使とともに詩情豊かに描かれています。


キリストとキリストを抱き降ろす人が眩い光に包まれた『十字架降下』。光と影の魔術師とも言われるレンブラントらしい作品です。


レンブラント晩年の傑作と言われる『放蕩息子の帰還』


大使の階段ほどではありませんが、こちらも華麗な階段です。


「12本の円柱の間」


重さ19トンの巨大な「コリヴァンの飾り鉢」は、製作に14年も要したそうです。


ロシア帝国建国の祖であり、ヨーロッパ辺境の3流国であったロシアの近代化・西欧化を推進したのはピョートル1世ですが、そのロシアを政治的にも文化的にも列国に比肩する強国に変貌させたのはドイツ出身のエカテリーナ2世でした。とりわけ、自らの隠れ家として小エルミタージュを建設したことを発端として現在のエルミタージュ美術館の礎を築いたのは、彼女の偉大な功績です。ロシア史に華麗な一時代を築いたロマノフ王朝の歴代皇帝の中でも、後に「大帝」と称されるのはこの二人だけであり、ロシアにとって特別な存在であることがよくわかりますね。
次は、印象派の作品が充実していたエルミタージュ美術館新館(旧参謀本部)の記事をアップします。

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