パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

ンプァッ!

2008-04-22 22:15:23 | Weblog
 光市母子殺人事件犯、死刑へ、って、そうだろうなあ。もし、そうでなかったら、ドラエモンがどうのとか、生き返らせるための儀式だったとかの言い分を認めることになってしまうものなあ。少なくとも、世論、というか世間はそう思うだろう。私もそう思う。(世論は、輿論と書くべきだ。輿論の「輿」はお神輿の「輿」。この方が意味がちゃんと伝わる。)

 安田弁護士とやらは、一体何を考えているのだろう。ドラエモンが助けてくれると思って死体を天袋に入れた、とか、蝶結びをしたら死んでしまったとか、変なことを依頼者が言い出したら、たとえそれが事実としても、誰も信じないだろうし、世間を怒らせることになるから、法廷には出さずにおこうと考えるのが弁護士としては普通ではないか。

 2chなどでは、安田が死刑に追いやったものという書き込みが多いが、この件に関しては、同意だ。また、弁護団のなかで話し合っていることを法廷でもそっくりそのまま主張し、それで押しまくれば、それが弁護団の主張として認められ、判決に反映される、という風に思っているのだろうか。それとも、結果はどうでもいいから自分達の宣伝になればいいと考えているのだろうか? 2chで有力な意見だが、これにも賛成だ。

 スティーブンソンの『宝島』を読む。もちろん、マンガとかでは読んでいるけれど、ちゃんと原作を読んだのははじめて。

 案外短い。リブリー先生、凄い。というか、怖い。医者の義務として放っておくわけにはいかないから、という理由で、自分達を襲った海賊共を治療してやりながら、「お前たちを死刑台に送らずにすましたら、死刑台に申し訳ないからだ」、とその理由を彼らに向かって言い放ち、実際、その後の戦闘で彼らをあっさり殺し、残ったやつらは島に捨ててしまうのだから。(食料は残してやったとしても)イギリスのジェントルマンの凄みを感じた。

 『大菩薩峠』、第一巻だけ読了。

 面白くないことはないけれど、小説として読む価値のある部分は、机竜之介が、剣の腕の差は歴然としているから、明日の御前試合では手加減してくれと、その妻から頼まれた男を打ち殺し、あまつさえ、その妻を奪って出奔するまでで、後はおまけのようなもの。それが延々と20巻も30巻も続いて、しかも未刊なんて、全部(未刊なら「全部」とは言えないのかな?)読んだやつはアホだ。

 新聞かどこかに連載中、本作を読んだ泉鏡花が、「これまでの大衆小説とは違う何かがある」とかいって、絶賛したらしいが、これは反リアリズムの巨匠として、リアリズム小説に対する優位を誇るための「ためにする」発言ではないか。要するに、余裕を見せようとしただけだろう。はっきり言って『旗本退屈男』のほうが小説としては、格上だと思う。

 『旗本退屈男』は面白い。特に、退屈男(名前を忘れてしまった)と、退屈男の女房代わりの妹、その妹の思い人で、退屈男ともムフフの関係にあるらしい美少年、この三つどもえの関係はなかなか。

 近頃ちまたでは侍言葉がはやりとか。戯れにでもお読み下され。ンプアッ。