パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

本末転倒

2010-10-30 18:18:31 | Weblog
 再放送だと思うが、NHKの「無縁社会」特集を見る。

 いやはや、こうして視聴者を暗澹たる気分にさせておいて、一方で「ツルベの家族乾杯」なんかを流す。

 マッチポンプだ。

 三菱銀行の元行員で、仕事一筋の生活の末に、50代半ばで糖尿と離婚の二重苦の生活になる。

 金は多分たくさん持っているのだろう。

 今住んでいるところはかなり立派な高齢者用マンションで、糖尿病のために特別に献立された料理が配達され、それを一人で食べる。

 糖尿は脚にきているみたいで、ヨロヨロ歩いている姿を見ると、この先長くはないと思われる。

 そうして、よろよろと歩いていったところは、自分が予約している墓地かなにかで、そこで、かつて妻と二人で散歩をしているときに見た、老夫婦の話を始める。

 老夫婦は、川沿いの堤防の上で二人並び、夫が尺八を吹いていたというのだ。

 それを見て、「ああいう夫婦になりたいと思ったのに」と、さめざめと涙を流す元三菱銀行員。

 で、終わりというドキュメンタリーだが、喝!と、故大沢親分じゃないが言いたくなった。

 二人目は元看護婦の80近いおばあさんだが、一度がんを患ったというわりには、とても元気そう。

 外に出られなくなったときのためにと、冷蔵庫の中には三ヶ月分の食料が冷凍状態でびっしり入っている。

 職業柄というより、本来のしっかり者なのだろう。

 そのためもあってか、結局は未婚で終わったが、せめてあの世ではみんなと一緒にと共同墓地を予約したと言い、その前で手を合わせていた。

 見ていたときは暗鬱な気持ちになったが、こうやって書いてみると、何が問題なのかという気がする。

 特に元看護婦さんなんかは、むしろお手本にすべき人と思われる。

 プロ野球、ドラフト会議でテレビマスコミは大盛り上がりだが、日本シリーズは地上波放送なしみたい。(今、ラジオで聞いている)

 こういうのを本末転倒というのだ。