パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

できるのか?

2008-01-22 22:33:29 | Weblog
 天気予報が当たるようになった、と言ったとたんに、雪の予報が外れた。朝起きると一面銀世界、って好きなんだけどなあ。事務所に向かう途中で、数人のおばちゃんが、「雪って言ってたぺよう、うそばっかりだっぺよう」「うんだ、ぽかぽかしてあったかっぺよう」と言っていたが、暖かくなんかはないと思うぞ。と、これは、昨日の午前中の話。

 アメリカでは大統領の予備選挙がたけなわだが、民主党の話題ばかりで共和党の話題はとんと聞こえてこない。まあ、やむを得ないところもあるが、ちょっと注目したいのが、ハッカビー候補。元牧師の、ばりばりのキリスト教原理派、つまりは右翼だが、なんと、所得税廃止、全部消費税でまかなうという政策を打ち出した。ちなみに、ネットで調べたら、ロン・ポールという、ハッカビーよりさらに「右」の候補も同じように、所得税廃止を言っているらしい。
 このニュースはもう一ヶ月くらい前のことで、その後、彼らがこの政策をどう宣伝しているのかわからないけれど、いったい、所得税廃止、消費税に移行とはどういうことか。そんなことができるのか?というと、実はできちゃうのだ。といっても条件が合って、これまで何度も書いてきたが、ベーシックインカム制度の導入とワンセットでなければならない。
 ベーシックインカムのことは、報道では伝えられていないのだが、多分、ベーシックインカム導入をもくろんでいることはまちがいないと思う。なぜかというと、そうでないと、「税金はすべて消費税で」は不可能だからだ。
 その理屈を説明すると、税金をすべて消費税でまかなうとすると、消費税は50パーセント近くになる。つまり、従来1000円だったものが、1500円になるわけだが、実は、その1000円には、従業員の所得税、年金の掛け金、健康保険の掛け金などが含まれている。それを計算すると、1000円の価格のうち、半分近くをゆうに占めてしまうのだが、ベーシックインカムを導入してあれば、それらの社会保障関係の負担はゼロなので、消費税が50パーセントでも、実際の価格は1000円に少し上乗せしたくらいで、さして変わりない。(これは、本で読んだ説明の鸚鵡返しである。念のため)

 つまり、「所得税廃止、税金はすべて消費税で」は、ベーシックインカムの導入なしにはあり得ない政策なのだ。報道はちゃんとそこまで教えてほしいものだ。記者ならベーシックインカムの名前くらいは知っているだろうに。ぶつぶつ。

 ところで、すべて消費税でまかなうとなると、どうしても、金持ちが有利になるという声があがるだろう。しかし、消費税は、実際は、消費した額にかかるわけだから、億万長者が爪に灯をともすような生活をして消費税を倹約したとしたら、結局、その億万長者の生活は貧乏人の生活と変わりがない。
 とはいえ、金庫にお金があるとないとでは大違いと言われるかもしれない。たしかにその通りのように思うけれど、しかし、ベーシックインカムが導入されていて、貧乏人にも生活の保障がなされていたとしたら、どうか。金庫の中で寝ているお金に嫉妬することもないのではないか。
 そう、結局は「嫉妬」の問題なのだ。