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慢性腎炎 清心蓮子飲加減治療 張琪氏漢方治療1(腎病漢方治療261報)

2014-02-09 00:15:00 | 慢性腎炎 漢方治療

1年前から腎病の漢方治療についてご紹介してきましたが、新たに、張琪氏の「慢性腎炎」の医案をご紹介するつもりです。随時( )内に私の印象とコメントを入れます。

患者?某 42

初診年月日2000526

病歴

患者は10年前腎炎を患い、治療により治癒していた。20002月感冒に因り、発熱、咽痛、扁桃腺腫大の症状が出現、尿蛋白3+、尿潜血3+。某病院で慢性糸球体腎炎と診断され、ペニシリン等の抗生物質治療を受け、体温は正常に回復し、咽痛も好転、但し尿蛋白3+、尿潜血3+、顆粒円柱5~7個/HP。さらに雷公藤総苷片経口治療を2ヶ月受け、尿蛋白3+、尿潜血2+~3+、治療を求め氏を受診した。

(一旦は治癒した10年前の腎炎が、上気道感染を契機に再発したと西洋医は考えて、慢性腎炎と診断したのでしょう。10年前の病歴が無ければ急性腎炎の遷延したものと考えてもおかしくはないのです。腎生検をしていませんので確定は出来ないのです。)

初診時所見

血圧正常、双下肢浮腫、腰酸、全身乏力、尿色黄赤、手心発熱、咽部充血、舌質紅、舌苔白、脈象やや数。

中医弁証:気陰両虚挟有湿熱

西医診断:慢性糸球体腎炎

治法:益気陰、清熱利湿

方薬清心蓮子飲加味

黄耆50g 党参20g 地骨皮20g 麦門冬20g 茯苓20g 柴胡15g 黄芩15g 車前子20g 石蓮子15g 甘草15g 白花蛇舌草30g 益母草30g 瞿麦20g 萹蓄20g 金銀花30g 大薊(涼血散瘀止血)30g 小薊涼血止血、解毒消癰)30g 白茅根凉血止血、清熱利尿30

水煎服用:11剤、二回に分服

二診

上方連続服用14剤、尿再検査:尿蛋白2+、潜血+。

上方計21剤で、尿蛋白(-)、尿潜血(-)、患者は前と比べ全身が有力になったと感じ、腰痛消失。患者は黒龍江省尚志市の住人で、現地に帰り、上方加減服薬60剤服用、ここ3ヶ月余再発無し。

ドクター康仁の印象

見事な治療結果でしたね。気陰両虚と弁証した理由は、簡単に言えば、全身乏力から気虚、手心発熱、舌質紅から陰虚火旺、湿熱と弁証した理由は簡単に言えば、浮腫=水湿内停→湿、脈象やや数→陰虚も有りますが、咽部充血、手心発熱、血尿の存在→熱、離経の血=瘀血も関係しますね。蛋白尿は腎気虚不固と考えれば気虚になります。気陰両虚挟有湿熱(瘀血)となれば治法は益気養陰清熱利湿(祛瘀)となります。

そこで、清心蓮子飲加減の登場です。再度 暗記文を載せますね。

参蓍茯車麦冬黄芩地骨石蓮子(さんぎぶくしゃ ばくとうおうごん じこつせきれんし)

本案では

黄耆50g 党参30g 地骨皮20g 麦門冬20g 茯苓20g 柴胡15g 黄芩15g 車前子20g 石蓮子15g 甘草15g 白花蛇舌草30g 益母草30g 瞿麦20g 萹蓄20g 金銀花30g 大薊(涼血散瘀止血)30g 小薊涼血止血、解毒消癰)30g 白茅根凉血止血、清熱利尿30

黄耆が50gと大量に用いられ党参と共に益気に作用しています。益腎固渋の石蓮子は通常量15g、麦門冬で養陰、地骨皮で退虚熱、茯苓、車前子で利水となり清心蓮子飲加味方になっています。氏は柴胡をよく使用しますが、量の15gからしても、升陽の引経薬とは考えにずらく、理気疏肝、解熱の目的であろうかと思います。

白花蛇舌草、金銀花は清熱解毒利湿、活血利水通淋の瞿麦や萹蓄の配伍は氏がよく組み合わせる利水薬です。涼血止血の大薊、小薊、清熱利尿作用を併せ持つ涼血止血剤の白茅根の配伍などは氏の得意とするところです。活血利水消腫の益母草は血瘀に対する祛瘀と水湿に対する利水を兼ねた生薬です。

しからば、涼血とは何か?となると血熱を清することとなりますが、その物質的な特定はまだされていません。

明日も清心蓮子飲による慢性腎炎の治療をご紹介します。

201429日(日)