昇陽益胃湯(しょうようえきいとう)は、既に「(腎病漢方治療247報)」で紹介しましたが、2001年の症例の医案を見つけましたので今回と次回は昇陽益胃湯のみのネフローゼ症候群の医案を紹介します。脾胃気虚、湿郁化熱の証に適用される方剤ですが、247報での使用のされ方と比較しながら進めていきます。
患者:劉某 23歳 男性
初診年月日:2001年2月12日
主訴:浮腫2ヶ月
病歴:
2ヶ月前水腫発病、現地病院でネフローゼ症候群と診断され、ステロイド治療20日間で、水腫は消退したが、尿蛋白は消えず3+、血清アルブミン2.1g/dL、更なる治療を求め氏を受診。
初診時所見:
面色皓白無華、体が重く倦怠、飲食無味、大便溏薄、腹張尿少、舌質淡、苔薄白、脈細弱。
中医弁証:脾胃虚弱 湿邪留恋
西医診断:ネフローゼ症候群
治法:補気健脾胃、昇陽益気
方薬:昇陽益胃湯:
黄耆40g 党参20g 白朮15g 黄連10g 半夏15g 陳皮15g 茯苓15g 澤瀉15g 防風10g 羌活15g 独活15g 柴胡15g 白芍15g 生姜15g 大棗3個
14剤、水煎服用、毎日1剤、2回に分服。
二診 2001年 2月26日
患者尿量増加、腹張著明に減軽、大便転正常、食欲増加、上方を継続。
方薬:昇陽益胃湯:前方に同じ
14剤、水煎服用、毎日1剤、2回に分服。
三診 2001年3月12日
体力は明らかに増加、尿蛋白±~+、血清アルブミン2.8g/dL。病情好転。前方を継続。
方薬:昇陽益胃湯:前方に同じ
30剤、水煎服用、毎日1剤、2回に分服。
四診 2001年4月12日
一ヶ月後、再検 尿蛋白転陰、血清蛋白正常に回復、病は治癒を得た。
ドクター康仁の印象
腎病漢方治療246報の二診の方薬は昇陽益気湯でした。以下
黄耆30g 党参20g 白朮15g 黄連10g 半夏15g 陳皮15g 茯苓15g 澤瀉15g 防風15g 羌活10g 独活10g 白芍15