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ネフローゼ症候群 疏鑿飲子(そさくいんし)加減治療 張琪氏漢方治療2(腎病漢方治療249報)

2014-01-28 00:15:00 | ネフローゼ症候群の漢方治療

患者:呉某 23歳 男性

初診年月日:1994年5月10日

主訴:断続性浮腫1年

病歴

ネフローゼ症候群歴1年、20日前、外感後に頭部顔面から全身性の高度な浮腫が出現、腹部膨隆、尿黄赤、尿少、24時間尿量400~500ml、フロセミド等の利尿剤効果不明確。

初診時所見

頭部顔面から全身性の高度な浮腫、腹部膨隆、尿黄赤、尿少、24時間尿量400~500ml、口干口苦を伴う、脈沈滑、舌苔厚膩。

中医弁証:脾胃湿熱壅盛、三焦熱壅滞の陽水

西医診断ネフローゼ症候群

治法:発汗瀉下利尿、表裏内外分消

方薬加味疏鑿飲子

檳榔(行気利水消積殺虫)20g 商陸(苦寒/有毒 行水退腫、散結消腫)15g

茯苓(健脾利水滲湿)15g 大腹皮下気寛中、行水消腫、止瀉)15g

(温中燥湿)15g 赤小豆(利水消腫、解毒排膿)30g

秦艽(祛風湿、舒筋絡、退虚熱)15g 羌活(解表散寒、祛風勝湿、止痛)15g

木通15g 澤瀉15g 車前子15g 萹蓄(利水通淋)15g

二剤、水煎服用、毎日1剤、2回に分服。

二診 1994年5月12日

2剤服用にて尿量増多、24時間尿量1000ml程度。継続前方とする。

方薬:加味疏鑿飲子:前方に同じ。

六剤、水煎服用、毎日1剤、2回に分服。

三診 1994年5月18日

6剤服用にて24時間尿量は1500mlを越えた。浮腫は顕著に消退、その他の諸症減軽、ただ大便やや不爽あり、加味 大黄7.5g通腑泄熱、継続3剤

方薬:加味疏鑿飲子:前方大黄7.5g加味

三剤、水煎服用、毎日1剤、2回に分服。

四診 1994521

大便通暢、尿量24時間量2500mlを超えた。水腫は基本的に消退、尿色淡黄、舌苔転薄、尿蛋白+~2+、継続して益気養陰、清利湿熱治療3ヶ月、尿蛋白は転陰、臨床的に治癒した。

ドクター康仁の印象

1994年の症例で、前案より4年前ですね。前案では木通は腎毒性が注目されて除かれていましたが、本案では配伍されています。

疏鑿飲子の治療対象は感覚的に把握できましたか?

さて、四診の「継続して益気養陰、清利湿熱治療3ヶ月、尿蛋白は転陰」の記載は氏が一段落した後の蛋白尿の残存する患者を診て、気陰両虚、湿熱下注、あるいは湿熱内蘊と弁証した結果としての治法なのですね。

思い出しましたか?そうです、清心蓮子飲(参蓍茯車麦冬黄芩地骨石蓮子(さんぎぶくしゃ ばくとうおうごん じこつせきれんし)を思い出して下さい。果たして、本患者では柴胡が加味されたでしょうか。(腎病漢方治療247報)に再度戻ってご覧下さい

本案も前案も治療結果は素晴らしいものでしたが、西洋医を納得させるにはデータが不足していることは否めませんね。

20141月28日(火)