患者:姜某 47歳 男性
初診年月日:1990年11月20日。
主訴:蛋白尿1年余
病歴:
患者はネフローゼ症候群を患うこと1年余、ステロイド治療により、尿蛋白は一時転陰したが、ステロイドの減量中に再発、病情が加重し、尿蛋白(3~4+)が持続し半年余消失しない。
初診時所見:
腰酸腰痛、気短乏力、手足心熱、口干咽干、尿黄赤、眼瞼軽度浮腫、脈滑、舌苔白、血清総蛋白3.9g/dL、アルブミン2.2g/dL、グロブリン1.7g/dL、血清総コレステロール10.1mmol/L(390.9mg/dL)、腎機能、血圧正常。
中医弁証:気陰両虚兼湿熱下注
西医診断:ネフローゼ症候群
治法:益気養陰兼清利湿熱
方薬:清心蓮子飲加減:
黄蓍30g 党参20g 石蓮子15g 地骨皮15g 菟絲子20g 柴胡15g 茯苓15g 黄芩15g 麦門冬15g 車前子15g 白花蛇舌草50g 益母草30g 甘草10g 土茯苓20g
7剤、水煎服用、毎日1剤、2回に分けて服用
二、三、四、五診
連続4回再診、前方を服用30余剤、諸症は顕著に好転、体力増強、尿蛋白1+。
六診 1991年12月27日。
偶に腰酸を覚える他に自覚症状無し、諸症消失、尿蛋白は続けて2回陰性、血清総蛋白6.8g/dL、グロブリン3.0g.dL、総コレステロール4.4mmol/L(170.3mg/dL)、完全緩解した。追跡調査一年来再発無し。
ドクター康仁の印象
素晴らしい治療効果でしたが、今回も、しつこく、清心蓮子飲(参蓍茯車麦冬黄芩地骨石蓮子(さんぎぶくしゃ ばくとうおうごん じこつせきれんし)の今回の加減を分析してみましょう。菟絲子(補腎陽)が加味されています。柴胡の加味も目立ちますが、柴胡(疏肝理気 解熱)はともかくも、黄芩と一緒になる小柴胡湯の方意は感じられません。白花蛇舌草50gとは大量ですね。前案では二診の方薬から除かれた白花蛇舌草が50gと大量に配伍されていること、活血利水消腫の益母草が配伍されており、氏がいつもカップルで使用している土茯苓 萆薢のカップルの萆薢の配伍が無いことで、結論は、お恥ずかしい話ですが、解析困難ということです。本案は1990年の医案で、近年のそれは2005年の症例です。張琪氏の方薬の進化と言えばそれまでですが、進化の数式が老いた頭では考えられないのです。何方か、頭脳明晰な解析をお願いしたいものです。
泣く子と地頭はなんとか誤魔化すことは出来ますが、老化には勝てません。
2014年1月22日(水)