患者:李某 5歳 女児
初診年月日:1991年10月10日。
病歴:
ネフローゼ症候群二年余、副腎皮質ステロイドと中薬治療を受け、一度は有効、但し再発後には無効。
初診時所見:
腹膨大、納呆嘔悪、口干苦、尿赤黄、尿量少、手足心熱、大便不爽、脈沈、舌苔厚膩。尿蛋白(3+)、尿RBC2~3個/HP、顆粒円柱2~5個/LP。
中医弁証:鼓張(脾湿胃熱、湿熱中阻)
西医診断:ネフローゼ症候群
治法:清熱利湿和中
方薬:中満分消飲加減:
川厚朴10g 枳実20g 黄連20g 黄芩10g 半夏10g 陳皮10g 澤瀉10g 茯苓10g 砂仁5g 乾姜5g 姜黄5g 党参10g 白朮5g 猪苓10g 甘草5g
六剤、水煎服用、毎日1剤、2回に分けて服用
(付記、人参は益気養陰の党参になっています。原方の知母は除かれていますね。
上下分消中満分消、四君子四苓、半陳二黄芩連、二姜厚朴枳実砂仁知母暗記文を再度記載しておきます。)
二診:1991年10月10日。
服薬6剤で、尿量増多1500ml/24hr、納食好転、大便正常。此の方薬を継続する。
方薬:中満分消飲加減:
川厚朴10g 枳実20g 黄連20g 黄芩10g 半夏10g 陳皮10g 澤瀉10g 茯苓10g 砂仁5g 乾姜5g 姜黄5g 党参10g 白朮5g 猪苓10g 甘草5g
六剤、水煎服用、毎日1剤、2回に分けて服用
三診: 1991年10月22日。
24時間尿量は増加し2000ml程度、尿色淡黄、嘔悪消失、尿蛋白+。前方服薬10剤で腹満消失、余症ははっきりとしたものは無くなった。尿蛋白±~+、薬剤を携えて現地に戻り治療を続けた。
追跡調査3ヶ月、病情は治癒した。
ドクター康仁の印象
この治療結果も見事ですね。小児の再発性ネフローゼ症候群は、日本でもよく問題になります。経過中に蛋白尿が再発すると、維持量のステロイドが増量されるのが普通です。本案のように再発して腹水が貯留するまでは放置しておかないのが通常ですが、医案には、一度は有効だった副腎皮質ステロイドと中薬治療が再発後には無効だったと記載があります。
これも欲を言えば、ステロイド治療と中薬治療の大まかな経過を記載して欲しかったですね。中満分消飲治療いかがでしたか?
市民講座としては難解ですか?なんとなく「そんなものか」でいいのです。
しつこいのは女性読者に嫌われるかもしれませんが、もう一度、
上下分消中満分消、四君子四苓、半陳二黄芩連、二姜厚朴枳実砂仁知母暗記文
です。
2014年1月17日(金)