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ネフローゼ症候群 清心蓮子飲加減治療 張琪氏漢方治療3(腎病漢方治療241報)

2014-01-20 00:15:00 | けい芥連翹湯

患者:張某 58歳 男性

初診年月日2005727

病歴

患者浮腫腰痛反復発作1年余、20045月誘引無く双下肢の浮腫、腰痛出現。血圧160/80mmHg。尿蛋白3+、尿潜血3+、ハルピン医科大学第二病院でネフローゼ症候群と診断をうけた。前後、国内の多数の医家、病院で治療を受け、ステロイド、雷公藤?苷などを服用し、病情は軽重を繰り返し、氏の名を慕って受診した。

初診時所見

乏力 腰痛 双下肢浮腫。双下肢を指で押すと陥没し戻らず、舌淡紅、苔白少津、脈沈弦。尿蛋白2+、尿潜血2+。血清アルブミン2.64/dL

中医弁証:気陰両虚、湿熱内蘊。

西医診断:ネフローゼ症候群

治法:益気養陰、清利湿熱、涼血を補佐とする。

方薬:清心蓮子飲加減:

黄蓍30g 党参20g 石蓮子15g 地骨皮15g 柴胡15g 茯苓15g 麦門冬15g 車前子15g 白花蛇舌草30g 茜草(涼血化瘀止血)20g 白茅根凉血止血、清熱利尿30g 沙参清肺養陰、益胃生津)15g 玄参(清熱解毒養陰)15g 石斛(甘、微寒 胃、腎養胃生津)20g 甘草15g 土茯苓30g 萆薢20g 薏苡仁20g

7剤、水煎服用、毎日1剤、2回に分けて服用。減塩食とし、高脂の食物と大量の蛋白質の摂取を控えるように言う。

二診 200583日。

前方服用7剤後、乏力、腰痛、浮腫は減軽。尿蛋白2.49g/24hr、病情好転、効果有りと判定し方薬を変えず、上方を継続服用とする。

方薬:清心蓮子飲加減:

黄蓍30g 党参20g 石蓮子15g 地骨皮15g 柴胡15g 茯苓15g 麦門冬15g 車前子15g 白花蛇舌草30g 茜草20g 白茅根30g 沙参15g 玄参15g 石斛20g 甘草15g 土茯苓30g 萆薢20g 薏苡仁20g

14剤、水煎服用、毎日1剤、2回に分けて服用

三診 2005817日。

浮腫は消退、自覚症状無し。尿RBC5~6個/HP、尿蛋白±。血清アルブミン3.29/dL。上方加減治療14剤、良好な効果が得られた。

ドクター康仁の印象

繰り返して清心蓮子飲(参蓍茯車麦冬黄芩地骨石蓮子(さんぎぶくしゃ ばくとうおうごん じこつ せきれんし)の今回の加減を分析してみましょう。原典の黄芩は配伍されていません。茜草20g 白茅根30gの止血方は氏の得意とするところで、血尿は祛瘀の観点から涼血化瘀止血の茜草が注目されます。苔白少津とは氏の主観で、数値化できないところが難点ですが、ともかく養陰清熱、胃熱の抑制という直感が生まれ、沙参15g 玄参15g 石斛20gが加味されたのでしょう。腎炎が根底にあるネフローゼ症候群ですから、土茯苓30g 萆薢20g 薏苡仁20gの加味も氏にとっては長年の習慣に近いものではなかったのかと推測します。白花蛇舌草30gの加味は第一案から本案(三案)まで共通ですね。

明日も清心蓮子飲加減をご紹介します。

ゆっくりと考えて行きましょう。

2014120日(月)