患者:譚某 27歳 女性
初診年月日:2005年10月11日。
主訴:全身無力を伴う顔面浮腫の反復発作6ヶ月
病歴:
半年前、ハルピン医科大学付属病院に入院「ネフローゼ症候群」の診断を受け、尿蛋白3+、血圧160/100mmHg、甲?尼(メチルプレドニソロン)及び降圧剤の投与を受け、血圧は130/80mmHg、尿蛋白は一度は転陰、ステロイド減量6錠時に蛋白尿が再発、尿蛋白+~2+、シクロフォスファミドを加えたが無効、中医治療を求めて氏を受診。
初診時所見:
顔面浮腫、全身乏力、尿色深黄。舌質淡、苔白、脈滑。尿蛋白2+、血清アルブミン低値。
中医弁証:気陰虚、湿熱内蘊。
西医診断:ネフローゼ症候群
治法:補脾腎之気陰、清利湿熱
方薬:加減清心蓮子飲:
生黄蓍40g 党参20g 石蓮子15g 地骨皮15g 柴胡15g 茯苓15g 麦門冬15g 車前子15g 金銀花30g 蒲公英30g 生山薬20g 熟地黄20g 山茱萸20g 芡実15g 白花蛇舌草30g 甘草15g
56剤、水煎服用、毎日1剤、2回に分けて服用
付記)参蓍茯車麦冬黄芩地骨石蓮子(さんぎぶくしゃ ばくとうおうごんじこつ せきれんし)の暗記分から上方を分析すると、先ず黄蓍が生黄蓍となり量が40gとやや多めになっています。柴胡(疏肝理気 解熱)、金銀花 蒲公英(清熱解毒燥湿)、芡実(補脾祛湿、益腎固精)、熟地黄、山茱萸(補腎陰)、生山薬(益気健脾)の組成となっています。白花蛇舌草は前案と同じ30gです。原典の黄芩は配伍されていません。今回は活血作用のある益母草や赤芍も配伍されていません。
二診:2005年12月7日。
服薬56剤後、尿蛋白転陰、血清蛋白は上昇し正常域、血圧は経口剤にて正常を保つ。舌淡紅苔白脈滑。方薬は効果があり、やや加減して調補脾腎、清利湿熱の法で治療継続、標本兼治、再発を防止し、患者の抵抗力を上げるようにした。
三ヵ月後再診、尿蛋白陰性、自覚症状なし。病は再発無し。
ドクター康仁の印象
これも見事なネフローゼ症候群に対する清心蓮子飲加減治療でした。
第1案と2案の参蓍茯車麦冬黄芩地骨石蓮子(さんぎぶくしゃ ばくとうおうごんじこつ せきれんし)の加減の違いは何処から来るのでしょうか?
明日も、加減に注目してみましょう。
急ぐことは無いのですから。
2014年1月19日(日)