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IgA腎炎 張琪氏漢方治療1 清熱解毒 活血化瘀法治療(腎病漢方治療225報)

2014-01-04 00:15:00 | IgA腎炎 漢方

中国ではIgA腎病という名称が一般的です。日本ではIgA腎症、或いはIgA腎炎の名称がありますが、本稿ではIgA腎炎に統一して進めたいと思います。張琪氏の医案にはIgA腎病と記載されています。

患者:李某 19歳 女性

初診年月日20011215

病歴

患者は大学生で、学校の義務労働に参加した後、感冒発熱悪寒、体温38.7℃まで上昇、すぐに肉眼的血尿が出現、全身酸痛、頭痛、咽頭痛を伴った。(二年前、血尿にて氏の病院を受診したことがある。嘗てペニシリン治療を受け、肉眼的血尿は消失した。)

初診時所見

尿沈渣RBC50/HP以上、尿蛋白(+)。舌尖紅、脈滑数。経医大第二病院で腎生検を受け、IgA腎病と診断された。

中医弁証:尿血(邪熱内壅、損傷血絡)

西医診断IgA腎病

治法:清熱解毒、活血化瘀

方薬清熱解毒飲

生地黄20g 玄参(滋陰清熱利咽)15g焦山梔子15g 黄芩15g 金銀花30g 連翹20g 桃仁(活血祛瘀 潤腸通便)15g 大黄(活血泄濁)5g 白茅根凉血止血、清熱利尿30g 小薊涼血止血、解毒消癰)30g 側柏葉涼血止血、袪痰止咳)20g 牡丹皮(清熱涼血 活血祛瘀)15g 甘草15g

水煎服用、2回に分けて服用。

二診

服薬7剤後、咽頭痛、全身の酸痛は顕著に減軽、尿蛋白(±)、沈渣RBC3040/HP、尿潜血(3+)、舌尖はまだ紅赤、脈滑、大便尚可、小便色深黄。

経過

4回の再診、服薬40余剤、あるときは顕微鏡学的血尿は顕著に好転し、沈渣RBC4~5個/HPとなったが、まもなく3040/HPと起伏し不安定で、腹がやや不快、大便毎日一回不溏、

原方に地錦草30g ?20gを加え、服薬30余剤で、尿沈渣RBC2~5個/HP、暫く停薬するように話した。20028月、尿再検査で沈渣RBC陰性、治療効果は固まり、病情は緩解した。

生薬解説 付記

地錦草(ちきんそう) 止血薬(日本での流通はありません

トウダイグサ科ニシキソウ Euphorbia humifusa WILLD. の全草

微苦/平 帰経 肝、胃、大腸、膀胱

効能 清熱解毒、活血化瘀止血、利湿退黄
熱毒瀉痢、皮膚化膿症および毒蛇の咬傷に用いる。
止血した後も瘀血として留めない優れた点がある。
地楡などを配伍し、止血の効果を増強する。
尿血、血淋に対しては、本品は止血もでき、利尿通淋の効果もある。白茅根、小薊などと配伍する。崩漏下血には、茜草根などとともに用いる。本品は利湿退黄の効能がある。
単用、あるいは茵陳蒿、山梔子などを配伍すると利湿退黄の効能が増強する。

?菜花(中国名 ジーツァイフア)

甘涼で清熱解毒剤に属し、凉血止血;清利湿に作用します。主治:痢疾、崩漏、尿血、叶血、咯血、衄血、赤白下とされます。日本での流通はありません

ドクター康仁の印象

「出血必留瘀 瘀血不除即難止」「離経之血 雖清血鮮血 亦是瘀血」という表現があります。出血は必ず瘀血を形成し、瘀血が除去されなければ止血は困難である。脈管を離れた血は、新鮮血であっても、瘀血であるという意味です。

滋陰利咽、清熱解毒、涼血止血、活血化瘀の四法が見事に組み合わされていますね。

20141月4日()