( )内に私の印象を付記します。
患者:張某 27歳男性
初診年月日:2003年6月6日
病歴:
蛋白尿、血尿が反復出現2年余。患者は2年前上気道感染後に蛋白尿(2+)、血尿が生じ(尿RBC50以上/HP)、抗感染治療後、尿蛋白(-)、尿RBC5~10個/HP、しかし、その後蛋白尿(+~2+)、尿RBC数多数から少数不一を反復した。半年前、ハルピン医科大学付属第二病院で腎生検を受け、IgA腎病と診断を受けた。
症状:
腰痛、自汗、盗汗、倦怠乏力、舌質紅、苔白、脈沈。尿蛋白(2+)潜血(4+)、尿RBC4~8個/HP。
中医弁証:腰痛(気陰両虚、湿熱下注)
西医診断:IgA腎病
治法:益気養陰補腎、清熱利湿解毒
方薬:清心蓮子飲加味
黄蓍40g 党参20g 石蓮子15g 地骨皮15g 柴胡15g 茯苓15g 麦門冬15g 車前子15g 蒲公英30g 金銀花30g 白花蛇舌草30g 地丁(紫花地丁 清熱解毒)20g 枸杞子20g 山茱萸20g 山薬20g 女貞子15g 旱蓮草30g 甘草15g
水煎、毎日1剤、2回に分服。
(清心蓮子飲 出典和剤局方の組成は黄芩 麦門冬 地骨皮 車前子 甘草 蓮子 茯苓 黄蓍 人参であり、功能は益気滋陰、清心火、主治は心火上炎、気陰両虚。症状は遺精、淋濁、結崩帯下、疲れると発作、或いは悪化。腎陰不足で、口舌乾燥、煩躁発熱が見られる。病機は思慮労心などにより次第に気陰を消耗し、心営不足のために心火が上炎して心腎不交となり、心火が小腸にも移って排尿異常を伴った状態とされますが、心―小腸―膀胱の表裏関係は私も最初に接したときには首をひねりました。日常の臨床では不眠やいらいらを伴う無菌性膀胱炎症状などに効果があります。本方薬は清心蓮子飲に益気健脾山薬、清熱解毒利湿の蒲公英、金銀花、白花蛇舌草、地丁を加味し、枸杞子20g 山茱萸20g 女貞子15g 旱蓮草30gは補腎陰を強化した配伍になっています。自汗は気虚、盗汗=寝汗は陰虚と関係すると覚えましょう。)
二診 6月20日
尿蛋白(+)尿RBC6~8/HP、尿潜血(4+)。腰痛は緩解、自汗、盗汗は減軽、倦怠乏力はまだ存在、舌質紅、苔白、脈沈。方は六味地黄丸と清心蓮子飲合方加減とし、滋陰補腎、清熱解毒利湿、涼血止血を以って治療する。
方薬:
熟地黄20g 山茱萸15g 山薬15g 茯苓15g 牡丹皮15g