土曜日、朝方は花曇りだったが、昼ごろになるとすっかり雲は取れてさんさんと春の陽射しが降り注いできた。風が若干吹いてはいたが、暖かくて絶好の花見日和だった。
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この陽気に誘われて、私たちもお弁当持って花見に行くことにした。桜の名所は各所にあるが、駐車に便利な中央体育館の公園に行くことにした。 午後から和音君を預かる予定にしていたので、その待ち合わせ場所に近かったこともあるが。
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中央公園は、大勢の人が散策したり、芝生で団欒していたり、のどかな風景だった。ちょうど剣道大会が開かれていたようで、花見の人たちに混ざって、男女の豆剣士があちこちの満開の桜の木の下でお弁当を食べていた。ぽかぽか陽気で暑いくらいで、早くも水が恋しくなったのか裸足になって袴をずりあげて噴水の中に入って水遊びをしている子供たちもいた。
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私たちものんびりとお弁当を食べた。遠くに薄桃色に覆われた金刀比羅山が春霞みで煙っていた。<o:p></o:p>
食べ終わった頃に、長女から連絡があった。長女夫婦たちには九州各地に趣味やスポーツで知り合った親しい仲間がいるが、その懇親を兼ねて毎年小倉で花見を兼ねて集まるという。ところが和音君は風邪をひいているので、その間私達が子守りすることにしたのだ。<o:p></o:p>
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和音君、食欲が落ちていると聞いていたが、やはりきついのだろう、元気がないようだった。家に連れ帰る途中、花見を兼ねて金刀比羅山を巡ることにしたが、山一面が満開の桜で被われて、見栄えが良かったが、車も溢れて、離合もままならないほど渋滞していた。桜の香りよりも焼肉の匂いの方が充満していて、ビール片手の赤ら顔の男たちが歩き回っていたり、艶のある嬌声がざわめいていたり、まさに春の宴、たけなわだった。<o:p></o:p>
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家に帰って、私は出張の疲れからか、陽気に負けたのか、居間でいつの間にか昼寝していた。和音君はご機嫌が悪く妻に抱っこをせがんで離れない。大好きなイチゴやヨーグルトも欲しくないようだ。夕方には熱も出てきたようで、顔が赤くなってきた。しきりにママを恋しがってぐずりだした。
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7時頃に夫婦揃って迎えに来た。途端に和音君の機嫌が良くなった。ママに抱かれて、安心している。やはり、親が一番だ。<o:p></o:p>