COOL CAT! CTO-1

2009-05-04 10:55:25 | Dano Effects
COOL CAT!シリーズのTRANSPARENT OVERDRIVEです。
オーヴァードライヴ・ペダルを単体で歪みとして使うのではなく、ブースターとして使うことが当たり前のようになったのはいつの頃からかは不明にして知りませんが、私が高校生の頃は例えばBOSSのOD-1などは誰も見向きもしていませんでした。もっとガッツリした歪みをということで、当時新製品として発売されたばかりのHm-2に飛びついたものでした。やはりHm-2はかなりの売れ行きだったそうです。
ところが、現在、OD-1はプレミアがついて相当な高値となり、Hm-2はBOSSの廃版アイテムでありながら一向にプレミアがつく気配もなく、誰も見向きもしないペダルとなっています。
なぜOD-1がプレミアがつくほど再評価されることになったのかといえば、もちろん歪むからということではなく、ブースターとして使用するといいといったことにありますが、このOD-1やチューブスクリーマーなど、ブースターとしての評価が高くなってプレミアがついた機種はいくつかあります。

こうした流れのなかで、現在はオーヴァードライヴといえば、ブースターとしての性能も高く、さらに歪みペダルとして単体でも使えるということが求められるようになり、様々なメーカー、ブランドがそうしたニーズに応えるべく新製品を開発しています。ダンエレクトロは大きい筐体のシリーズでペイズリーペイントされたピュア・ドライヴを出していました。これはチューブスクリーマーを意識してつくられたとのことでしたが、COOL CAT!シリーズにもブースターとして使えるオーヴァードライヴペダルをラインナップしました。これがTRANSPARENT OVERDRIVEです。

TRANSPARENTは「透過」「透明」といった意味ですが、ついそこに親を乗り越えるといった星一徹・飛雄馬のような物語をイメージしてしまいます。それはともかくとして、このTRANSPARENTは最近のキーワードでもあります。歪ませても音が潰れず、コードを弾いても一つ一つの音が明瞭であるというようなサウンド。アンプでもピックアップでもそしてエフェクターでもTRANSPARENTであるということが有効な売り文句として機能しています。
ダンエレクトロは今までどちらかといえば50年代、60年代のサウンドを再現することを狙ったペダルを数多くつくっていましたが、COOL CAT!シリーズでは、確かにリーゼントヘアの青年のイラストをあしらってはいるものの、現代的なハイエンド・ブティック・エフェクターの流れを汲んだものになっています。流れを汲みすぎて、先日記事にもしましたが、COOL CAT!の歪み系ペダルは高い評価を得ているブティック・エフェクターのクローンであることがいろいろなところで指摘されています。なかにはレイアウトを公開していないものもあるようなので、問題視する向きもあります。私としては、パッケージに最初にギター用のエフェクト・ペダルをつくったのはダンエレクトロなのだと多少遠慮がちではありますが記載しているわけですから、そのプライドを持って、安易にクローンをつくったりはしないで欲しかったという思いはあります。

さて、TRANSPARENT OVERDRIVEですが、これはポール・コクランのTimmyのクローンだと言われています。違いはトレブルとベースのコントロールにあります。Timmyがトーンをカットする方向にしか働かないのに対して、TRANSPARENT OVERDRIVEは12時をフラットにしたカット&ブーストとなります。こうすることで全く同じではないと主張できるということでしょうか。
Timmyはベースを歪み回路の前、トレブルを歪み回路の後にすることで、しっかりとした低音域を出しながらこもらないように設計されていますが、これはTRANSPARENT OVERDRIVEも同様だと思います。

クリーン・ブーストからグラッシーなクランチまでとあるとおり、アンプやギターの持ち味を活かしながらのブースト、文字通りのTRANSPARENTなクランチが実現されています。Timmyとの比較がYouTubeで見ることができますが、それを見る限り、サウンドの傾向はやはり似ていて、しかし、音のクリアさやプレゼンスの点ではTimmyに軍配が上がるといったところです。

しかし、こうしたブティック・エフェクターのクローンよりもダンエレクトロらしい一癖あるペダルをもっと、と思うのは私だけではないでしょう。
コメント (4)
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