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PSYCHO FLANGE

2008-11-15 12:35:29 | Dano Effects
これはフランジャーですが、ただのフランジャーではなく、名前の通りサイケデリック仕様のフランジャーということで、通常のフランジャーよりもきつめにかかります。「シュワシュワ」と「ぴよーん」に加え、「キシキシ」とハウリングのような、テープがきしむような音が加わった感じです。コントロールはほとんど効かないので、ディストーションで歪ませてからフランジャーを薄くかけるというような使い方はできません。

このペダルは「使うときはえげつなく、ノイズも音痩せも気にしない」という姿勢が要求されます。ジミ・ヘンドリックスあたりのギター・サウンドを思い出すと、当時のエフェクターの使い方というのはそういうものだったということが改めて認識できるはずです。

コントロールはSPEED、REGEN、WIDTHの3つですが、前述したように、全てをフルにする以外は、出てくる音にそれほどの変化はありません。クリーントーンで弾くとその独特のフランジング効果がよくわかって面白いです。歪ませる場合はむしろ歪みの前にこのペダルをかましたほうがいいです。歪みの後だと弾いてなくてもジェットサウンドが発生し、ギターの音が埋もれてしまいます。

BACK TALK

2008-11-14 01:39:51 | Dano Effects
リヴァース・ディレイというのは、弾いた音が裏返って戻ってくるというわけで、ちょうどテープを逆回転で再生したような効果になります。有名なところではビートルズがアルバム「リヴォルヴァー」の中で多用していますね。このBACK TALKはそのあたりのサウンドを狙っています。コンパクト・ペダルでリヴァース・ディレイだけというのはダンエレクトロのBACK TALKくらいではないでしょうか。

このペダルはリヴァースされた音だけを出すことができるのが特徴です。いつもの手癖フレーズも何やら新鮮で、わけのわからないものになるところが面白いですね。アルペジオで弾くと、足踏みオルガンでも弾いているかのようで、懐かしくも切ない感じの音になります。

MIX、SPEED、REPEATSの3つのコントロールがあります。リヴァース音だけを出したいときはMIXを右いっぱいに回します。

BACK TALKはとても楽しく遊べるペダルですが、効果的に使いこなすにはそれ相応のセンスが要求され、なかなか難しい面もありますね。

SITAR SWAMI

2008-11-13 01:43:48 | Dano Effects
良かれ悪しかれ、ダンエレクトロのエフェクターのイメージを決定づけたのが、筐体にペイントが施され、Dのロゴマークの代わりにピースマークをあしらったシリーズでしょう。便宜上60'sシリーズと呼ばれますが、文字通り60年代半ばから後半にかけてのサイケデリックなサウンドを再現したもので、ユニークな個性にあふれています。

ヒゲを伸ばしたグルのペイントがとぼけた雰囲気を醸しだしているSITAR SWAMIは文字通りシタールのシミュレーターですが、その評価は極めて低く、おそらくは使えないエフェクターの最高峰に位置するものと思われます。ネット上で散見されるレビューなど見ても、誰もが口を揃えてこれはシタールの音ではないと言い、まったく使えないと言います。

しかしながら、このペダルは中古市場において最も人気の高い機種の一つでもあります。それは筐体のユニークさもさることながら、唯一無二であり、しかも使えないエフェクターであるというところがコレクターの必須アイテムと化してしまったということでしょう。

このSITAR SWAMIがどのようなエフェクターなのかと言えば、様々なエフェクターの要素を集約したものだと言うことができます。具体的に言えば、ピッチシフターあるいはオクターヴァーによって高域を強調し、かつ低音を加え、ディレイによる残響とフランジャーによるうねりによって、シタールの弦が共鳴することによるドローン効果を再現しようとしています。そしてそれだけではまだ不足しているサスティンと音が波打つように跳ねる感じをスライドバーを使って弾くことで補おうというわけです。確かにこのようなエフェクターは他にないと言えます。

このエフェクターがなぜ使えないのかは、試しに持っているエフェクターをすべてつなぎ、すべてを一斉にオンにしてギターを弾いてみたときのことを想像すればいいでしょう。そのサウンドはカオス状態になり、収拾不可能となるでしょう。もちろん、一つ一つのエフェクターを、全体のバランスを考えながら調整することでどうにか使える音にすることは可能でしょうが、SITAR SWAMIにはLEVELとEQの2つのツマミしかありません。

SITAR SWAMI単体であれば、シタール風なサウンドを出すことはできますが、やはりシタールそのものの音とは隔たりがあります。また、歪み系のペダルと合わせようとすると、フランジャー成分がジェットサウンドになってうねりだすので、シタールのシミュレーターというよりはノイズ発生装置と考えたほうが妥当なような気がします。
なかなか使い道が見つからないのですが、SITAR SWAMIは持っているだけでも満足感を与えてくれる不思議なペダルです。

Dan-O-Matic

2008-11-08 02:14:48 | Dano Effects
ダンエレクトロの大きい筐体のシリーズは便宜上オリジナル・シリーズと呼ばれます。このラインアップはどれも個性的で優れたエフェクターとして定評がありますが、一つだけあまり評価の芳しくないものがあります。それがDan-O-Maticです。これはペダル・チューナーなので、エフェクターとは別物としたほうがいいかもしれません。

Dan-O-Maticという名前はギブソンのブリッジに採用されているTune-O-Maticから取ったものでしょう。そのヴァリエーションとしては、DC-3やHodad、MODといったギターに搭載されているピックアップ・セレクターの名称であるSelect-O-Maticがあります。

このチューナーの欠点はチューナーとしては大きすぎるという点に尽きます。そのわりにディスプレイ画面が小さいため、ますます「無駄に大きい」という印象を強化しています。これほどの大きさであれば例えば電源供給機能などがあってもいいのでは、と思いますが、これにはMUTE OUTはついているものの、チューナーとしての機能しかありません。

外観はミミズクのような、あるいはアール・デコ調の装飾的なデザインはそのままですが、目に相当するコントロールノブがないので、同じ筐体でも印象がまるで違って見えます。それはミミズクというよりはむしろ旧式の潜水服、もしくは宇宙服のようです。

Dan Echo

2008-11-07 20:03:58 | Dano Effects
ダンエレクトロのエコーだからDan Echo。今回紹介するペダルは今までとはうってかわって極めてあっさりしたネーミングになっています。ダンエレクトロの場合、ディレイという表記を排除しているわけではないのですが、あくまでもエコーという表記にこだわりをみせています。

このペダルはデジタル・ディレイなのですが、テープ・エコーのような、アナログでローファイなサウンドを狙っています。テープ・エコーのシミュレーターは現在ではモデリング技術の進歩に伴い、実に手の込んだものがあり、Dan Echoは今となってはシミュレーターとしてその存在を誇示することはできませんが、デジタル・サウンドが普及し当たり前になった頃に、アナログならではの味わいをあえて狙ったという意味で、ダンエレクトロらしいペダルであると言えます。

このペダルはMIX、SPEED、REPEATS、HI CUTの4つのコントロールとLO-HIというスイッチがあります。HI CUTは文字通り高域をカットすることでローファイなサウンドがつくれます。LO-HIスイッチはロカビリーで多用されるスラップ・エコー的なサウンドといわゆるディレイを切り替えるものです。スイッチ一つで切り替えられるのは思いのほか便利な機能です。

このペダルもデジタル的な高音質や多機能ではなく、アナログ的な温かみや自然さといったものが売りです。古くさいといえばそれまでですが、ダンエレクトロのペダルの傾向としては50年代や60年代のギターサウンドの再現ということがあり、エコーという表記へのこだわりもそこに立脚したうえでのことでしょう。

COOL CAT

2008-11-06 02:13:00 | Dano Effects
今年の夏頃に日本でも発売されたエフェクターの新シリーズの名称はCOOL CAT!ですが、これもまたもともとは大きい筐体のコーラス・ペダルにつけられていた名前です。新シリーズにもコーラス・ペダルがラインアップされているので、COOL CAT CHORUSというと2つあることになり、紛らわしいことこのうえないですね。

今回紹介するのは大きい筐体のコーラス・ペダルのほうです。18V仕様になっています。のちに9V仕様のものも出ましたが、18Vのほうが人気があります。使い勝手の悪さを差し引いても18Vが人気なのは、そのサウンドにあります。

一般的にコーラス・ペダルのサウンドをイメージすると冴え冴えとした青といった感じだろうと思いますが、COOL CATは名前こそクールですが、むしろ温かみのある音色が特徴です。これがとても気持ちよく、大きな魅力になっています。

コントロールは揺れの速さを調節するSPEEDと揺れの深さを調節するCHILLの2つです。ステレオ出力も可能になっています。

DADDY O.

2008-10-27 01:21:35 | Dano Effects
ダンエレクトロのオーヴァードライヴペダルですが、なぜDADDY Oとネーミングされたのでしょうか。ダンエレクトロのネーミングはユニークではありますが、いわゆるアメリカン・ジョークにピンと来なくて笑えないのと同様な感覚を引き起こすことがままあります。
DADDY Oというのは「おじさん」とか「おっさん」という意味で、より親愛の情を加味するならば「おやっさん」みたいなニュアンスになるでしょうか。経験豊富で頼れる存在みたいな意味合いのオーヴァードライヴペダルということかもしれません。また、Overdriveの「O」にかけているとも考えられます。ネットで調べてみると、1950年代後半につくられた「DADDY O」というB級映画があることがわかりました。タランティーノが「パルプ・フィクション」の中でポスターを引用しているそうなので、その筋にはカルト的な人気のある映画なのかもしれません。この映画とダンエレクトロを関連づけるものは見つかりませんでしたが、引き続き調べてみたいと思っています。

このペダルは3バンドのEQが特徴です。そのためコントロールノブが全部で5つになり、しかもかなり密集しているため、操作しづらいという難点があります。3バンドのEQといえば、マーシャルのガヴァナーもそうですが、DADDY Oはガヴァナーの回路を参考にしてつくられたようです。確かにサウンド的にはマーシャルライクなものになっています。
マニュアルのセッティング例を見ると、ブルース、ジャズ、カントリー、60年代ブリティッシュ・ロックなどがあり、多様なスタイルに対応できることをアピールしています。
そのセッティング例に「T.C.O.B」というのがあります。これはおそらくTake Care Of Businessのことだと思われますが、「やるべきことをやる」といった意味のフレーズがエフェクターのセッティングとどういう関係にあるのかが不思議に感じられます。フラットに近いセッティングなので最低限「やるべきことはやっている」ということなのでしょうか。これについてもネットで調べてみるとエルヴィス・プレスリーが好んで口にしたフレーズがTake Care Of Businessだったということがわかりました。もし、そのことが踏まえられているのだとすると、ロックンロールをやるのにちょうどいい感じの歪みということになるでしょうか。

いずれにしても、クランチからディストーション的な歪みまでをカバーしていますので、FAB TONEを持て余してしまうような場合にはDADDY Oがよいということになります。

DADDY Oといい、T.C.O.Bといい、日本人には微妙に伝わりにくいのですが、アメリカ人であれば労せずとも腑に落ちる感じなのでしょうか。
言葉はとりあえず置いておいて出てくる音がよければいいではないか。そういうわけで、私はこの大きな筐体のエフェクター群にますます魅かれていくのでした。

※追記
改めてマニュアルを見ると、The Gran Daddy of Overdrive と表記されているのを見つけました。オーヴァードライヴのおじいさん、ひいては模範となるようなオーヴァードライヴといった意味合いでしょう。まあ、それはそれで。

FAB TONE

2008-10-22 02:28:25 | Dano Effects
ダンエレクトロは1969年に工場が閉鎖され、いったんその歴史に幕を閉じます。その後、1990年代にエヴェッツ・コーポレーションによってダンエレクトロブランドが復活しました。このエヴェッツ・コーポレーションの社長はオクターヴ・ファズの名機FOXX TONE MACHINEを作った人だということはよく知られていますが、そのせいかどうか、ギターだけでなくエフェクターも現行のダンエレクトロの主力製品となっています。

ダンエレクトロのギターとアンプの虜となった私は、自然とエフェクターにも関心を抱くようになりましたが、そのとき目の前に現われたのがFAB TONEでした。凄まじい轟音を出す、最狂の歪みと謳われることの多いこのディストーション・ペダルに強く魅かれるものを感じた私は、早速入手し試してみることにしたのでした。



高出力のピックアップを搭載したギターにつなぐと、評判どおりノイズまみれの凄まじい轟音になりましたが、決してコントロールできないほどではなく、TREBとFABのツマミを下げることで心地のいい歪みを得ることができました。ダンエレクトロのギターにつないでみると、TREBやFABをかなり上げても暴れることなく、倍音成分がジワーッと広がっていく、いい感じの歪みが得られました。

FAB TONEは愛好者も多いが持て余す人も多いというペダルですが、これは決して轟音を出すために設計されたのではなく、ただ、「あのモグワイも使用している轟音ペダル」というイメージが先行しているため、轟音を出しつつそれをコントロールしようとすると音作りが難しくなってしまうということなのだろうと思います。

ダンエレクトロのエフェクターの筐体はとてもユニークなかたちです。一見するとミミズクのように見えますし、Dのロゴマーク部分はおそらくキャデラックのエンブレムを模したのだと思われます。ときにアール・デコ調の筐体だと言われることもありますが、他のメーカーのエフェクターと比較すると装飾性の高いデザインでしょうし、コントロールノブを目に見立てて全体を顔として構成するファズフェイス以来のデザイン伝統を踏まえているようにも思います。

ユニークなかたちと個性的なサウンドを持ったダンエレクトロのエフェクターに出会ったことで、それまでアンプ直結主義であった私は見事に転んでしまったのでした。