小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

サルトル

2012-01-23 22:47:12 | 考察文
「人間は自分のつくったところのものになる」とは哲学者、サルトルの言葉だが。それは私は実感していることだが。全ての人間に当てはまることではなかろう。大抵の人間は、時代のつくったところのものになったり、、社会のつくったところのものになる、ケースの方が多いだろう。

しかし、運動を見ていると、「人間は自分のつくったところのものになる」ということが当てはまっている人が多い。テニススクールで、ストロークで、やたら速い球を打ち、やたら思い切り、速いサーブを打っている人がいる。おそらく、その人にとっては、試合で(試合でなくラリーても)相手に勝つことが大切で、それがテニスが上手くなることだと思っているのだろう。サービスでも、ストロークでも、思い切り速い球を打つ。それは、まあいいとしても、サービスでは、ダブルフォルトが多く、ストロークでは、オーバーやネットが多い。ともかく、やたら速い球をネットにひっかけている。ダブルフォルトや、オーバーやネットばかりでは、本人の求めている試合で勝つことも、ままならない。

しかし、テニスは、まず第一にリズムのスポーツであり、次に、サービスでもストロークでも、相手のコートにボールを入れなくては、話にならない。テニスはリズムのスポーツであるのだから、ストロークが上手くなるには、ラリーを出来るだけ長く続けるように意識した方がいいのである。そのためには、速く打つことを意識するのはいいとしても、出来るだけ相手が打ち返しやすい所を狙って打った方がいいのである。コントロールが大切なのである。(野球のピッチャーでも、豪速球でもストライクが投げられなければ話にならない)ラリーを長く続けようという意識があれば、時には、遅い球、や緩い球を打つことも必要なのである。テニスの理想のフォームは、ラリーが続いている時にこそ、もっとも体が内的変化を起こしてくれるチャンスなのである。サービスでも、まずは速く打つことではなく、まずは、サービスボックスに球を確実に入れることを意識すべきなのである。最初は、遅い球でもよく、正しいフォームで打とうということを意識すべきなのである。正しいフォームが出来てくれば、それから、だんだん速い球を打とうと意識した方がいいのである。

ただ速い球を打つことばかり考えて打っていると、いつまでたたっても、正しいフォームが身につかず、ダブルフォルトやネットばっかりしているプレーヤーでとどまってしまう可能性がある。速い球を打てるから、知らない人が一見すると、上手いテニスプレーヤーに見えるかもしれないが、実際は、技術が上手いプレーヤーではないのである。
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